第4話 水の精霊
北東の森だったな。なんだか証を示さなければならないらしいが、ついでにおいしい水が手に入りそうだ。
これぞ、一石二鳥ってやつだ。さて、行ってみよう。
とりあえず、北東へ向かって歩いてきたのだが、森って、あれのことなのか。
明らかに森と呼べるような木々はなく、これ以上進んでも、何も無いし。いや、あれは森とは言わないと思うのだが。
酔っ払いの言うことだし。アリなのか。
さて、入ってみるか。迷路になっているって話だったからな。おまけに、目印は泉だの像だのって話しだ。明らかに誰かが作ったものだろうな。
森に入ると、左右の二手に分かれていた。試しに右に行くかな。右は更に上下に分かれた道に着いたが、どちらに行くべきか。
まず、上に行ってみよう。
と、上に行くと行き止まり。アイテム(青の玉)をゲットして、元の場所に戻ろうとしたが、いきなりスタート地点に戻されてしまった。
どうやら、戻れば元の場所に戻るようになっているらしい。今度は、先程の道の下に行こうと思う。
すると、なにやらまたアイテム(赤の玉)が、落ちているものは頂いていこう。こちらも行き止まりになっているようだ。なんだ、右側の道はどれもハズレだったようだ。
今度は左の道に進む。すると十字に分かれていた。どうやらこちらの道で合っているようだ。1つは、俺が来た道だから。まずは、まっすぐ行ってみるか。
すると、また行き止まり。アイテムは無かったが、変わった装置があった。一応調べてみよう。
お、何かはめ込むようになっている。
さっき見つけてきたアイテムは、ここにはめるための物だったのか。
という事は、どの道も当たりって事だな。
これって、迷路にもなっていないような気がするが。
ということで、他の道も全部行って、アイテムを集めて来よう。上の道にはアイテム(黄の玉)、下の道には(緑の玉)があった。だけど、これってどうはめたら良いんだ?
そういえば、青・赤・黄・緑というと、この世界に分かれている大陸それぞれのカラーじゃないのか?
青は東の(青龍大陸)、赤は南の(朱雀大陸)、
黄は西の(白虎大陸)、緑は北の(玄武大陸)
だとすると、上にはめ込むのは当然「緑」だよな。下は「赤」、右は「青」、左は「黄」
………。
どこかで、何かの音がした。
さて、どこか変わったのかな?って、すぐ側に魔方陣が出現したし!なんだろう。これってやっぱり何かの魔法ってやつなのか?
こういう物にはあまり近づかない方が良いのだろうけれど、ここで待っていても仕方がないし、試しに行ってみるか。
魔方陣の方に近づいてみる。
すると、一気に周りの景色が変わった。これって、やっぱり瞬間転移装置(ワープ)ってやつか。
「こ、ここは?」
辺りを見渡すと、あの話にあった泉が目の前に広がっていた。ということは、すぐ近くに像が二つあるはず。探してみよう。
探してみると、泉の側に女神像があり、その横に変わった像があった。何か秘密があるはずだ。
調べてみよう。
「………。」
待てよ。てか、どうやってそこまで行くんだ?女神像の周りは泉のようで、近づくことができない。中央の像まで行くためにはどうしたらいいのだろう。
やはり、あの青いマス…とりあえず行ってみるか。と、やっぱりワープか!?あっという間に中央の陸地へ来てしまった。
すごいな。魔法ってやつは。
でも、先にワープがないぞ。
そういえば、おいしい水が必要だったな。汲んでいこう!
女神像の元で、おいしい水を手に入れた。
するとワープが出現した。えらく簡単だなぁ。しかし、そのワープに乗ると元いた場所に戻されてしまった。
どうやらもう1つのほうだったようだ。ということで、もう一度中央の陸地へ渡り、反対の像を見てみる。水の中にレバーのようなものがあった。
もしかして、こっちか。レバーを切り替えた。
すると、もう1つのワープができた。
さて、行ってみるか。ワープの向こうへ!ワープの向こうには洞窟があった。これが、話にあった洞窟らしいな。
しかし、声が聞こえると言う話だったが、何も起こらないし、聞こえないな。
どういうことだ?
とりあえず、中に入ってみよう。普通に入れてしまった。中は小さな空間で、所々にきれいな石の塊がある程度。
もしかして、これが魔石なのか?奥に宝箱が見える。明らかに場違いなものだよな。
何でまたこんな所にと思ったが、とりあえず開けてみよう。すると、中から青い精霊が現れた。
「な、なんだ!!魔石があるはずじゃ?」
思わず、一歩後退する。
「助けてください。私だけでは救えない。」
………一体、何がどうなっているんだ?
「あの…誰ですか?」
「私は青龍大陸の守護精霊である水の精霊、ウォーター・シュイ・クアン」
「………呼びにくい名前だな。クアンでいいか?」
「はい。」
「それで、クアン何があったんだ?」
「それが、私の眷属であるスライムがいなくなってしまったのです。」
「………スライム。もしかして、あの大群のやつか?」
「いえ、一匹ですが?」
「中央に変な色のスライムが居たんだが、違うのか。」
「分かりません。もしかするとその子かもしれないです。」
「俺は、スライム退治を任されたんだ。」
「なんですって!あの子は…いえ、それであなたは魔石を求めて来たのですね。」
「そうだ。でも魔石はなさそうだな。」
「いえ、私が持っています。」
「本当か?欠片でもいい。分けてくれないか?」
「もし、私の眷属を助ける手伝いをしてくださるなら、差し上げましょう。」
「分かった。どうすればいい?」
「私を連れて行ってください。」
「え?連れて行くって言っても、精霊って動いていいのか?」
「非常事態ですから。」
「了解!じゃ行こうぜ」
と、まぁそんなこんなで、精霊と行動を共にする事になった。
精霊を連れているといっても、一緒に歩いているわけではない。精霊は普通人には見えないものだ。精霊自身が姿を見せる気があるか、それを見る資質がない限り見えないんだ。
言ってみれば、憑いているって言った方が正しい表現だろう。クアンの話しによると憑いている間はクアンの力が使えるようになるらしい。
つまり、水属性の力が使えるようになったということだ。といっても、俺自身のレベルが低いため大した技は使えないけどな。
「聞いてもいいですか?」
「何だ?」
「あなたは、なぜスライム退治を請け負ったのですか?」
「クアンは知っているだろう。今この世界から水が無くなっている。」
「ええ。我々精霊の力ではもうこの世界は保てない程狂ってしまいました。」
「その原因を知りたいんだ。」
「知ってどうするのです?」
「分からない。でも、知らなきゃいけないような気がするんだ。」
俺はクアンに幼い頃のことを話した。
「なるほど。あなたは、原因追及と落し物を返すために旅をしたいと。」
「そう。ただ、未だに村長にも会えない状態だけどな。」
「その落とし物、見せていただけますか?」
「あぁ。いいよ!」
クアンは落とし物を手に取ると驚きに目を見開いた。
「こ、これは!!…」
「知っているのか?」
「いえ、直接知っている訳ではありませんが、恐らくアクオス様の物です」
「アクオス?それって、この世界の神様だよな。」
「ええ。」
「そっか。神様って、えぇー?」
「私もびっくりです。人前に現れるなんてことは、今まで前例がありません。」
「でも、助けてくれたんだよな。これも返さないといけないし。」
「ふふ。これは、大変な旅になりそうですね。」
クアンはウィンの素直な心を称賛しつつ微笑んだ。
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