第3話 スライムの怪
打倒村長!を心に決め、いざ、おつかいに。
「か、米・牛乳・ニンジン・ジャガイモ・タマネギ・牛肉・カレー粉、おいしい水・卵だったよな。」
まず、家に何か無いか調べてみよう。お、棚にロングソードにポーション3つ、なんだか普通のアイテムだな。
でも、ポーションはいいとして、武器を普通に棚に置いておくなんて…。まぁ、いいか。使えそうだし。
ふふふ。待ってろよ村長。←明らかに目的を忘れている。
ウィンはダークモードに入っている。
あ、あれは、米だ。ウィンは台所で米の入った袋を見つけた…って、家のだし!
ニンジン・ジャガイモ・タマネギは、畑に行ってみればあるかもしれない。
でもこの村、カレー粉を売っていたかなぁ。カレーってスパイスだよな。
もしや、何年も待ってから来いとか。はははっ笑えねぇ!とりあえず、野菜GETのため、畑に向かおう。
「すみません。野菜を少し頂きたいのですが。」
「あぁ、どうしたらいいのか。」
「……聞いています?」
「困ったなぁ」
「………。」
「………。」
「…何かあったんですか?」
「おぅ!丁度いいところに来た。実は、かくかくしかじかで。」
「なるほど。最近、畑がモンスターに荒らされて、困っていると。そのモンスターを退治してほしい、そういうことですね。」
「そうだ。もし、退治してくれたなら、褒美をあげよう。」
「分かりました。それで、どこの畑なんです?」(…何だか偉そうだな。)
「この村から南に少し行った森の中の所にある、木が目印だ。では、ウィン頼んだぞ。」
「行ってきます。」
「そうそう、これを持って行ってくれ。必要になるはずだ。」
「こ…これは!」
ウィンは、PSB(水質浄化細菌)を手に入れた。
PSBというのは、水質をきれいにする「ろ過バクテリア」の事なんだ。
ちなみに、ものすごく臭い。何と言うか、言い表しようがない匂い。側にいるだけでもたまらない。そんなPSBが水をきれいにしてくれるから不思議だ。
これぞバクテリア効果だな。くぅ。臭すぎる。手っ取り早く済ませよう。
ここから、南に行った所だな。つまり、下の方だ。木が目印だったな。
木が目印って、やっぱりあれなのか。あからさまに他の木とは違うのだが…。普通におかしいだろ。
とりあえず、行ってみるか。
「うわぁ!!なっ、なんだよこれ。ありえねぇ。」
畑はスライムで埋め尽くされていた。
「スライムの大量発生か!」
こんなに大量に、一体どこから沸いて出たのか。なにげにボスっぽいのもいるし………
こういう時は一匹一匹倒すか、まとめて倒すか、ひとまず退散するか考える所だが、さて、どうしようか。
まずは、試しに一匹戦ってみよう。戦闘開始。
ウィンの攻撃→スライムには効果が無いようだ。
ウィンの攻撃→スライムには効果が無いようだ。
ひとまず退散しよう。
ウィンは逃げ出した。
…スライムには打撃系の攻撃は効かない。
そもそも、あれは切っても意味が無かったんだった。なぜって、そりゃあスライムは切ってもすぐにくっついてしまうからな。
つまり、一匹ずつ倒すという選択は、今の俺では無理なようだな。
さて、どうしよう。
スライムに有効な攻撃って一体何なんだろう。まさに、「魔法」でもないと倒しようがない。かといって、なんて俺は使えないし。
「魔法」という力は失われた力と伝わっている。それ程、今では使える人が限られているんだ。便利ではあるが、難しいらしい。
力のコントロールができなければ暴走してしまうし、誰でも持っている力ではあるが、誰もかれもが使えるという訳ではない。
南の方にある朱雀の村には、そういった「魔法」を使える種族がいるって話だが、残念な事に、水が無くなり、海は跡形もなくなってしまった。
つまり、船で行こうにも、渡るべき海が無いという訳だ。
………困った事になったな。
モンスター退治とはいえ、相手がスライムとは…。大抵のゲームでは雑魚キャラだが、弱いのか強いのかよく分からないよな。
とにかく、魔法以外の手段を使わなければいけない。
スライムって、そもそも何でできているんだ?スライムは大抵、水場に多く生息している。
最近では水がある場所が限られている為に、人の住む場所にまで、侵入して来ている事が問題になっているのだが。
スライムといえば、元々は、人間が作り出したモンスターだ。
ゴーレムのように作ろうとして造られたモンスターと違って、偶然に意思を持って動き出したモンスターではあるが、スライムの成分は、水・洗濯のり・食紅・ほう砂(ホウシャ)でできている。と言うことは、火か風で固めることができればスライムも倒せるのではないか?
しかし、ここにいるスライムの中央にいるボス的存在は、何か他の物が混ざっているように見える。
一体スライムに何があったんだ。
まさか、突然変異!?
それにしても、なんだか汚い色のスライムだな。もしかして、汚れた水でできたスライムなのか?
畑のおじさんはそれを知っていたのか…。
どちらにしても、一度村に戻らなければ。なにせ、アイテムが必要なようだしな。確か、村の近くにある洞窟には魔法が込められた石、魔石の欠片があるらしい。
ただのモンスター退治が、なんだか大変なことになってきたなぁ。
魔石っていうのは、ほんの欠片だけでも結構な力が放たれる。つまり、本体の魔石はとんでもない力が込められているということになる。魔石ができるのは自然界では極まれだ。魔石大抵は術者や魔法使い、魔女などが自分の力を込めて造る。
しかし、どれだけ強い力を持っている者でも、自然にできた魔石と同等の純度の高い魔石を造り出すことは不可能だとも言われる。
ただし、自然にできた魔石は大抵、強力な精霊に守られているらしい。
その欠片を手に入れることさえ命がけだという。
おまけに魔石を手に入れるにはある条件があるらしい。その条件というのは魔石自身が決めるという事だ。つまり、魔石には意思がある。それに適わなければ、触れる事さえ出来ない。
とにかく、まず村に戻ってから、洞窟に関する情報を集めて、その場所を探そう。
ダンジョンの情報収集といえばもちろんあそこだよな。ということで、とりあえず村にある酒場へ向かった。片っ端から話を聞いていくしかないな。
「すみません!魔石がある洞窟の場所を知りませんか?」
「ひっく。トレジャーハンターにでもなるつもりかねぇ。」
「いいえ、モンスター退治に「魔石」が必要なんです。」
「モンスター退治?ははっ、がんばれよ!坊主………ZZZ。」
「ダメだな。こりゃあ。」
「おい、お前。おいらの武勇伝聞くかぃ?」
「いえ、結構…。(面倒臭そうだな)」
「いいのかぃ。魔石の話だぜぃ?」
「なんだって!!是非教えてください!」
「ふふん。実はな、おいら魔石の洞窟がある場所を偶然に見つけたんだよ。」
「それで、どこにあったんですか。」
「まぁまぁ、話はきちんと聞くものだぜ」
「はぁ。では、続けてください。」
「んでよ。中に入ろうとしたんだけどな。ぱぁんと跳ね返されちまったんさ。」
「跳ね返された!?入れなかったってことですよね。」
「そうそう。ぱぁんとな…んでもって、中から声が聞こえたんよ。」
…………ゴク。
「汝、この洞窟に入る資格なし。資格ある者ならば、証を示せ。」
「それで、一体どうしたんです?」
「さぁ。気がついたら外に放り出されていてな。」
「………。」
「ま、見つけた場所は覚えているけどな。」
「教えてください。」
「この村から北東に行った森の中だよ。ま、行きゃ分かるさ。」
「森の中ですね。分かりました。」
「森の中は迷路になっているからな。でも、目印はあったぞ。」
「め、目印?」
「そうそう。おいしい水が沸いている泉があってよ。あれは極上だな。」
「中央に女神像があるんだな。その近くだったと思うぞ。」
「………。(何でまた、女神像が…)」
「そうそう、他にも何だか変わった像があったな。」
「そうですか。ありがとうございました。」
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