第10話 練習開始

屋外で練習を始めると目立つので、都内にある別邸の一室を片付け、練習場にした。ニホバル王子はまだ別邸をもらっていないので、この別邸は母であるアビスナ王妃の持ち物だ。

普段は城にいる事が多いから、アビスナ王妃はあまり別邸を使っていない。

その別邸をニホバル王子は練習場として借りている。


別邸には防音のために、風のバリアーを魔術師に張ってもらい、音消しをしている。団員は皆ルノアに才能開花のスキルを掛けてもらっている。


「王子様、オラたちは何をすれば良いんで?」


屈強そうなオーガ達は不安そうな顔をしている。


「オーガの諸君には、和太鼓を担当してもらう」


俺は太鼓のばちを持って最初に見本を演じてみる。


ドンドンドン ドドン ドン

ドンドコドコドコドコドコドコドコドコドコ

ドドン ドドン ドドン ドドン ドドン ドドン

ドドドドドドドドドドドド カ カ

ドドン ドン


「ふー、まぁ、こんな具合に皆、やってみてくれ」


「ほえー。 太鼓ってこんな音が出るんだ」


太鼓はリズムが打てれば様になるだろう。

楽譜の出来ない俺にとっては、先ずこれからだろうな。


太鼓練習を始めたオーガ達はグングン上達を始めた。

複数の太鼓のリズムを刻むに至るまで、それほど時間は掛からないかもしれない。




次にドラム担当の女オーガ二人。

ドラムは力が強すぎると破れるから、セーブ出来そうな二人を選んだ。

二人にしたのは、交替要員を見越しての事だ。


激しいリズムでドラムを叩き続けるのは、結構体力が必要になる。

やはり体力勝負はオーガだろう。

そんな理由で、体の線が細く背も低めの女オーガを選んだ。


「ドラムの場合は、スティックをこう持って」


ドタタタ ドタタタ ドタタタ ドタタタ

ダダダダダダダ

ダン ダン ダン

ダダダダダダダ ジャン


「ほえー。沢山の太鼓って、こうやって打つんだぁー」


ドラム練習を始めた女オーガは、交代しながらドラムを打つ。

聞いていると、どんどんリズム感が良くなって行くのが解る。





ハーフリンク達には、合唱団を受け持ってもらう。

知らなければ、少年少女と見間違えるハーフリンクだ。

ならば勘違いを逆手にとって、見た目可愛い外見重視だな。


雛段と制服を後で作るとして、取敢えず整列の仕方から教えていく。

無事に揃うようになった後は、ひたすら歌う練習だ。

出来れば、某合唱団のようになれば良いんだけど。


一週間ほど後に父王に披露してみるのも良いかもしれんな。





演奏披露はロンオロス王謁見室で行われる事になった。


「ニホバル、今日は余に何を見せてくれると言うのだ?」


「本日は初めての成果をご覧に入れたく企画しました」


謁見室の両側の壁際に王妃達や重臣達も参列をしている。

そしていよいよ魔王の眼前で演奏が始まる。


最初はお馴染みのザウィハーズのリュート三重奏から始まり、

オーガ達の和太鼓演奏、最後にハーフリンク達の合唱で終る。


「………う~む。面白い、実に面白いぞニホバル」


ザウィハーズの速いテンポの格好良い曲。

オーガ達の勇壮な和太鼓の演奏。

ハーフリンク達の綺麗な揃ったハーモニー。


いずれも皆これまで聞いた事が無い旋律と、リズムに感心をした様だった。


「後日、これらの演奏を街の演劇場で披露したいと存じます」


街の住人達は皆、聞きたがる事だろう。

いくばくかの入場料を払ってでも。

それは俺にとっても貴重な収入源になる。

自分的には、まだまだ企画は持っている。

それらを順次実現していけば良い。


「して、ニホバルよ、面白くはあるが、如何にして用兵に用いるつもりかの?」


なるほど、それを説明するには、今この部屋の中では狭すぎる。

後日、時を見計らって、軍団を使った実演をする事を約束するのだった。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――


YoutubeのURLを張ってみる事にしました。

文面からは音楽は聞こえす。楽しんで頂ければ何よりです。


https://www.youtube.com/watch?v=F2KywtfRkbs

【歌えるオールディーズα11】 パイプライン (ベンチャーズ)


https://www.youtube.com/watch?v=C7HL5wYqAbU

Kodo - "O-Daiko" - HD (japanese drummers - Taiko - tambours geants Japon)


https://www.youtube.com/watch?v=o8n9uga9I6Q

川口千里×app10.jp ドラムソロ


https://www.youtube.com/watch?v=6XfHIz8hIvk

合唱団 おお牧場はみどり (チェコ民謡)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る