第9話 採用選考面接

各ギルドから応募してきた者たちを、城の前の広場に一同集まってもらった。

んー凄いな。20000人位いそうだな。

見渡せば、若い者が多い。

やはり新しい事に目が向く世代という事だろうな。

しかし、さすがに20000名も全部一気に受けられない。


先ずは採用面接を行って篩い落としが必要か。

その場合、合否結果をそれぞれに伝えなければならないな。

その為には、各人に結果通知を伝達しなければならない。

結果通知には名前と連絡先が要るから、応募用紙に結果通知とセットになって、二つに切り離せる物を各人に渡した方が良さそうだ。

応募用紙と結果通知の両方にそれを書き込んでもらう。


更には、その用紙を受け取ったり、渡したりする事務仕事も必要になるのか。

まだ用意出来ていないから、今日の所は告知止まりになるが、仕方ないか。


後、事務仕事は城のメイド達には、仕事量を考えると頼み難いな。

なんたって、これは俺の趣味だから。

後で事務仕事用の求人募集も出さなくちゃ。


考えをまとめ、ツェベリに演説をしてもらう事にした。

彼女は曲がりなりにも戦闘侍女隊の隊長である。

隊長なら、隊員に号令だって掛ける事も多々ある筈、だから任せても良いだろう。


群集を前にツェベリによる説明が始まった。


「静まれー!静まれー!今此処に集いし者達、諸君等には、本日以降、応募用紙を発行する。新たなる事に参加を望む者は、その応募用紙に自分の名前、連絡先を書き込んで持参し、指示あれば再びここ、城のこの広場に集合せよ!第一次選考を開始する!その後も選考を行う予定ゆえ、その都度集まるように!

宜しいだろうか?宜しければ、この場におわすニホバル王子様に敬礼を以って応えよ」


凛と響く大声でツェベリの指示が群集に木霊した。

うーん群集は一般人で軍隊じゃ無いんだけどなー。

しかし、そんな杞憂も吹っ飛ぶほど、会場の群集は皆敬礼をもって応えていた。


「諸君等の熱意と敬礼は受け取った!本日は以上を以って解散とする。諸君等は再び各ギルドにて応募用紙を受け取るように、以上解散!」


こんな具合に今日は告知宣言だけに終ってしまった。

手際が悪いってのは悲しいね。俺の不手際だけど。



その日の内に各ギルドに事務作業員募集の届けが出され、200名ほど集まった。

集まった者たちに応募用紙の作成と各ギルドへの配達が始まった。

選考が終った後、選考結果を運んでもらう予定をしている。






第一次選考が始まった。

本日の選考は、ドラム、太鼓、アカペラの選考だ。

オーガとハーフリンクを募集予定にする。


力強いのは、やはりオーガだろう。

和太鼓を打たせる姿が決まりそうだ。

ドラムに向きそうなのがいればオーガに任せても良い。

15人ほどの計画だ。


ハーフリンクは背が低く、子供のような容姿だから、

聖歌隊、または某合唱団風なものに期待出来そうだ。


広場には各種族の旗を立て、旗の下に集まってもらった。

それ以外の者たちは次回選考に回ってもらう。



集まってもらったオーガたちは540名。

先ずは皆に樽の底を薪で叩いてもらう。

音感やリズム感の良さそうなのを採用する事にする。

彼らの力は強く、直ぐに樽は壊れてしまい、次の樽を用意するのが大変だった。


オーガはとにかく体格が凄い。

全員が筋肉質で、身長も2mは標準で『鬼』そのものと言っても過言じゃない。

そんなオーガが数名で太鼓を打つのだから、相当な迫力がある。

見る者、聞く者皆がその迫力に圧倒されるだろう。


女オーガは男ほどの身長や筋肉は無いけど、スタミナが無尽蔵にありそうだ。

どれほどの激しい運動量でも、延々と続けられる体力がある。


皆林業を生業にしていたそうだけど、山の中で巨大な棍棒か斧を手に大きな熊を相手に戦っていそうな雰囲気がある。赤系の髪に日に焼けた赤褐色の肌に漲る筋肉が凄まじい。


結果、15名の選抜は終った。

男オーガ10名、女オーガ5名


ドラムに小柄な女オーガ2名



ハーフリンクは2500名中100名を決める。

そのために各自歌を歌ってもらう。

音感を基準に声質で決めさせてもらった。


背が低く、一見子供に見えるハーフリンク達が歌う姿は微笑ましい物がある。

そんなハーフリンクだから、歌声は本当に子供が歌っているように聞こえる。

合唱団としてハモらせれば、綺麗な歌声になるだろう。




今回の面接者の応募用紙を貰って面接を開始し、天幕の後ろの侍女に

合格者がこっそり判るようにして、一通り渡し後で分別する。

合否の印を付けやすくする工夫だな。

不合格者には、次回にご期待をとしてある。

想像していたより、狭き門になってしまって落選の諸君には申し訳なかった。






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「父上、兄上がまたしても奇妙な事を始めた様子。暴動に繋がらなければ良いのですが」


「うむ。余もニホバルの考えている事はよく解らん。解らぬが政治的な活動とは違うと思う。様子を見ようじゃないか」

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