主人公には目指すものがあって、必死に努力するだけの熱意があって、応援してくれる人たちとそれに応えたいと願う強さがあった。私にはそれがとても眩しい。人から運の量は決まっていると励まされたことがおそらく誰しもにあると思う。けれど現実は全くそうではない。等しくない。残酷なほど理不尽で救いがない。主人公はそれでもとひたむきに努力を重ねて、限界を実感させられる。この苦境にこそ、魔が差すのだ。甘美な魔の誘惑を退けて、残酷な現実に心を破壊せず持ち堪えていく方法を私も知りたいと願う。