第5話家なんか要らないとは言わない、復活のニート
あの一件があったが俺の生活状況は何も変わらなかった、だって自分を燃やして突入する特攻勇者は世間的に必要なかったから。そして誰も細かい経緯は聞いてこない、勇者の子供だから。
「ニート、ニート、メリナお昼ご飯持ってきたよ。」馬小屋の扉の影から水色の髪飾りが揺れている。
甘い香りがするメリナの方を見ると、今まで全然気にしていなかったが眼が金色なんだな、髪は黒なのに、そういえば母親は俺好みの美人だったな。
「ああ、ありがとう。」気の進まないまま隣に座るのを容認する。
あの一件から俺はメリナとの親の公認の仲になってしまった、体を張ってメリナの命を助けたことと俺の全裸を見られたことで。
空気中からビシビシとメリナの好感度が俺に刺さってくる。
「お弁当メリナが作ったの、美味しそうでしょ、頑張ったんだよ。」褒めて欲しくて眼が潤んでいる。
「うん、美味しそう。」一応褒めるとほっぺが真っ赤になった。
実際のところ見た目はなんだか判らない料理になっている、でも3歳児で料理するのは大変だろうな。固形なのか液状なのかとりあえず摘めそうなので一口摘んで口に入れてみた、味は悪く無い、いや調味料使ってない?。
で、どうして馬小屋なんかで昼飯かと言うと、俺は自分の部屋を失っていた、格好よく言えばおれの部屋は弟に譲った、勇者なのにうちはどういう訳かお金が無いらしく小さな家で暮らして居る、なのにプライドだけが高い。
魔王を倒してかなりの報奨金をもらった様だが気前よく皆に奢って財産が無くなったとナスタが言っていた、故に余分な部屋は無い。
俺は馬も居ない馬小屋に住む事にした、魔王と共に戦った馬も生活資金として売ってしまったらしい。
今思うと、俺の前世の親は立派な親だっんだな。
兎にも角にも3歳児のお世話になって1週間たった、いい加減に自分で食事を稼がないと幼児のヒモ生活では情けなさすぎる、俺も3歳児だけど。
次の日から俺は職探しを始めたが3歳児で勇者の子供では農園の仕事や水汲みさえ紹介してもらえない。
「ニートくん。」不意に声を掛けられた。
「こんにちはベルさん、僕に何か御用でしょうか。」
「おう用事さ、ところでお前なんか雰囲気変わったな、急に大人びたっていうかやっぱ男は命を掛けると変わるよな。」
「あの申し訳ありませんが先に御用件をお願いします、僕はいま仕事を探さなければいけないんです、食費を稼ぎたいんです。」邪険にする気はないけれど無駄話に構う暇もない。
「そうだな用事を済ませないとな。」ベルは頭を掻きポケットから小袋を出して俺の手に掴ませた。
「俺としたことが子供相手にどうしたもんだか。ニートくんの先日倒した魔獣の件だが、あれには懸賞が掛かっててな、僅かだが報奨金が出てた、これで少しの間は食費の心配はいらないだろうよ。」
「そして、勇者にはこれもやるよいい男には必要だぜ。」ベルは小さなスキッドを差し出した。
「いや・・・。」判るけど。
「子供に酒渡すの?。」
「3歳なら普通のめ、ない・か。」バツが悪そうにしている。
「すみません、お酒は気持ちだけで結構ですから。」
それでも内心ホッとしていた、何日分かでも食費が有るか無いかでかなり違う、今考えてることを試す時間が取れる。
引き篭りが勇者になったら冒険譚 猫3☆works リスッポ @nekosanworks
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