第8話 ファーストキッス

「私はだから決心したのです。今日も散々無視されましたからね。あなたの大好きなケーキを記憶から消してあげますよ。もう私しか考えられないようにね」


「そ、そんな、どうしてそうなるんですか! 謝りますから、ね?」


 何度も無視されたからって夜這いって…… それよりケーキに嫉妬する勇者様って、どう考えてもおかしいでしょう。


「私にここまでさせたのは貴女だ」


 エルネストはそう言って、私の首筋に顔をうずめた。そして、胸を掴んでいた手をゆっくりと下にずらしていく。


「や、やめてっ!」


 彼は私の首筋を甘噛みした。痛みとは別に彼の濡れた唇の感触と相まってぞわぞわしたものが身体中に走ってくる。


「あっ……やっ……」


 私はたまらず、腰をクネクネ動かし、この快感から逃れようとする。そのことに気づいたエルネストは、私の肌の上で、フッと笑みをこぼした。


「気持ちがいいのですね。もっとよくしてさしあげますよ」


 頬の熱がカァッと上昇してしまう。私は男の人とこういった経験をつんだことがない、だけど多少の知識はある。本やインターネットなどで調べることができたから。弟が隠していたエロ本をみつけて、それを読んだこともある。なぜかエルフのコスプレをしているおねぇさんだったけど……


 私にもいつか、彼氏ができたら、こういったことをするんだなぁと思っていた。でもそれが今、現実になるだなんて……しかも初めてがレイプだなんて、


 チュっと、首筋からゆっくりと彼のキスが下へと下がってくる。彼の所有物でもあるかのように肌に赤い斑点が私の身体に残っていく。やがて私の胸にたどりつくと、勃起した蕾に彼は優しくかぶりついた。


「ああ……っ、やぁ……だ、だめ……」


 その瞬間、背筋に何かが走り抜け、私の口から甘い声が漏れだした。指で弄ばれるよりも強烈な、そう甘美なる刺激が私に襲いかかってきたのだ。


「ああ、んっん、や、やだぁ……」


 エルネストは舌を濡らし、ねっとりとねぶりながら、先端を吸いついかせてくる。そのたびに、私の身体が、びくんびくんと跳ね上がってしまう。


「ここが、弱いのですね」

 

 顔を上げ、クスリと笑うエルネスト。


 そして――


 私の先端を力強く吸いあげた。


「……ああっ!」


 羞恥心のかけらもない、そう、言われるかもしれない。


 だけど……


 頭からつま先まで快感の波が一気にかけめぐって、身をそらさずにはいられない。


 だ、だめなの、アソコの疼きがもう止まらないの、わたし、わたし、


「あ、いや、あ、ん、ま、まって!」


 私の口から甘い声の混ざった抗議の声がもれてしまう。だけど、エルネストはやめてくれない。より、激しくなってくる。なんともいえない、甘美なる刺激が何度も、何度も、襲ってくる。


「んぁ、あ……あ、や、やめ……」


 責められ続けた私は、もう息も絶え絶えになっていた。エルネストは、もだえる私の姿に興奮を覚えたのか、空いた手をそのまま下にずらし、ドロワーズのリボンを解き始めた。


 私は慌てて身をよじり、最後の抵抗をしようとした。だけど、う片方の手でエルネストにがっちり手首を押さえられている私では逃げることが叶わなかった。


 これ以上はもう――


「やめて、お願いだから、これ以上は、もう!」


 この先に進むのが怖い。


 そんな私を見て、エルネストは手を止める。


 わかってくれたの?


 と安堵しかけたそのとき――


 彼の顔が私の目の前に現れて。


 えっ……?


 油断していた。


 エルネストの唇が私の唇に覆いかぶさったのだ。


「んっ……んんっ」


 これが異性との初めてのキスだった。わたしの……ファーストキスが……彼に奪われてしまった。ただ、わたしは呆然としていた。


 感慨にふけっているのも、つかの間、彼は触れるだけの優しいキスにとどまらず、固く閉じた唇の、わずかな隙間をぬぐうように、彼の舌が、するりと私の口内に侵入を始めたのだ。


「……ん、んんっ……」


 無理、こんなの無理、激しくて、激しく、もう、やだぁ。


 抵抗できぬまま、舌を絡められ、口内を嘗め尽くされていく。彼の舌の感触が、すみずみまでいきわたり、舌が動くたびに、あそこの奥が疼いてくる。


 手足が痺れて……


 もう、抵抗する力が……


 わたし……


「……んんっ……ん……んん……」


 彼の舌で執拗に絡まれ、吸われ、息がだんだん苦しくなっていく。私の意識は次第に朦朧となって、もう何も考えられない。


 そうエルネストのなすがままにされてしまったのだ。


 ぴちゃくちゃと水音を立てながら、互いに熱いキスをしはじめた。


 この部屋からは、むさぼり合う二人の吐息だけしか聞こえない。


 もうエルネストに意識も感覚も……すべて奪われてしまった。


「ぴちゃ、じゅる、んんっ、あっ、むっ」


 手首の拘束はすでに解けている。


 そのことさえ気づかないほど私は彼のキスに夢中になっていた。


 ドロワーズの中に彼の手が侵入していることさえ気づかなかった。


「ンんっ、うんんっ!?」


 彼の指が私の大切なアソコに触れだした。


 外気にさらされていた彼の指だけに、その冷たさが私の肌にひんやりと染み込んだ。それが刺激となって、わたしの身体が大きく跳ね上った。


 彼は私のアソコを指でゆっくりなとぞっていく。


 私はたまらず声を上げてしまう。


「んんっ!!」


 でも、その声は、声にもならず彼の口の中で、ひっそり消えていく。


 アソコの入り口をやさしく丁寧に広げながら、じんわりと滲む私の蜜を、彼は指で絡めるように浅くかき回していく。


 彼に抵抗しようとした、何度も股を閉じようとしたけれど……


「ンんっ、んっー!」


 だめだった。


 だって……


 彼の指が与える刺激から逃れようにも、もう足が言うことを聞いてくれない。


 それにもう私は彼を罵倒することさえでぎない。ただ喘ぎ声を発するだけ、そんな状況だから……


 本当はわかっている。


 身体は嘘をつけない。


 だって私は、この甘美なる刺激にのめりこんでいるのだから、まるで、ケーキのように……


 そして――


 私の大切なアソコを踏み荒らしていた指が、ぐぅっと私の中に侵入する。


 痛みと異物感に唾をぐっと飲み込んでしまう。


「んんっ、んっー!」


 彼の指の動きが止まらない。


 内側にある肉壁を、こすりつけながら、ゆっくりと入ってくる。


 やがて、根本まで入っていくと、何かを探るように、ゆっくりと上下させた。


 抜いたり、差したり繰り返し、また、壁をこすったりする。


「あっ、むっ、んぅ、ん、んぅ」


 身体の奥から何かが、あふれてくる。


 くちゅくちゅとアソコから水音が聞こえてくる。もう抵抗する気はなかった。彼に自ら股を広げ、彼を受けいれる体勢がすでに出来ていた。私の身体は彼を求めていた。

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