後日譚②(終)「年の差二人の年越し」
「寒いですね。帰ったらお雑煮作りましょうか」
寝起きに着替えを急かされ、何かと思えば、私とハルは初詣に来ていた。私も口にしないがハルと同様に寒いし、それどころか人混みに少しうんざりする。参拝したら早く帰ろう。
「おみくじって、ハルは引く?」
参道まで来ると、おみくじや御守りも見えてくる。私は、あまり引こうとは思わない。5年連続凶のトラウマがあるのだ。
「引きましょうよ。私好きですよ。凶でも面白いですし。勝負とかしましょうよ!」
ハルはそんな私の思いをよそに、楽しそうに私にねだってくる。袖を掴んではしゃぐ姿は、年相応というか、あどけなくて可愛さを覚える。
「じゃあ、引こっか。せめて吉が出るといいんだけど」
二人でおみくじを買い、結果を開いてみる。中身は、末吉だった。
「うーん……微妙だな。ハルは?」
詳しい内容を覗きながら、ハルの結果を聞いてみる。しかし、答えることなく紙を持つ手は震えていた。
「ハル?」
仕方なく自らハルのおみくじを見ると、そこに書かれた文字は、凶だった。
「あー、私の不運が移っちゃったか」
私が苦笑混じりにハルに5年連続凶の話をすると、案の定頬を膨らませて私に怒りをぶつける。
「そんなの聞いてないですよ! 私完全にとばっちりじゃないですか!」
そんな文句をぶつけるハルに、軽く謝りながら頭をポンポンしてやる。
「まあまあ、一緒にいたら、どっちが不運でも同じだし、それに二人なら乗り越えられる、なんて月並みなことを言ってみたり」
照れ隠しにそう言って、私達は帰路に着く。帰ったらお雑煮を作らなくては。
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