後日譚②(終)「幼馴染の年越し」
「いよいよもうすぐ年が明けるね!」
年が明けるまで残り数分と差し迫った頃、私と雪花は通話でその時間が迫るのを二人楽しんでいた。
「通話でだと、やっぱり少し距離を感じるけどね」
盛り上がる雪花に比べて少し落ち着いたトーンで私は話す。画面の向こうの雪花は寂しそうに、頬を膨らます。
「そのうち同棲したら一緒だもん」
同棲か。いずれ雪花とすることになるのだろうか。そしたら、どんな暮らしになるのだろう。例えば、雪花の作ったご飯を食べるのだろうか。あるいは、二人ひとつのベッドで寝たり……?
「それは、最高だね」
私が納得したように返すと、雪花はうんうんと頷いて微笑む。
「あ、年明けてる!」
慌てた雪花に時計を見ると、針は0時1分をさしていた。
「あけましておめでとう。雪花」
「今年もよろしくね。夏海」
外から除夜の鐘の鳴る音が聞こえる。年明けを実感した途端に襲って来る眠気に、欠伸をひとつこぼす。
「そろそろ寝る?」
雪花が聞く声に頷き、うんと伸びをする。
「明日、初詣に一緒に行こうね」
と言っても、早起きできるだろうか、少し心配だが。
「大丈夫、寝坊したら起こしに行くからね」
そう言ってイタズラっぽく笑う雪花に、私もまた、イタズラで返す。
「――じゃあ、おやすみ」
画面に口付けをした後に見てみると、画面の向こうの雪花は顔を隠していた。
今年も、楽しめそうだ。
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