水曜日「同棲百合」
第1話「よろしく」
「本当に良いんですか? 夜宵さん、もう大学卒業ですし、私となんて大した縁でもないじゃないですか」
私は夜宵さんの住むマンションの部屋にお邪魔して、今更ながらそんなことを聞く。本当に大した縁も無いし、むしろ私が恩を返すべきなのに。
「良いの良いの。暁美ちゃん、見ていて不安だし、世話焼きな先輩に拾われたと思ってさ」
そう、あくまで私が恩を返すべきなのは、そういう所に起因しているのだ。
私はある日、大学内のカフェでランチを済ませて出ようとしたら、そこでようやく財布を忘れたことに気づく。そして、ちょうど居合わせた夜宵さんに代金を立て替えてもらった。私と夜宵さんは、それだけの縁なのだ。
「とにかく、可愛い後輩をほっとけないし、素直にあやかりなよ」
夜宵さんはあくまで私を招き入れたいようで、何を言っても策を講じてきた。元々私にとっては悪い話でもないし、乗って損は無いだろう。そう思い、私は夜宵さんの部屋で、同棲を始めた。
「それが今やラブラブなんだから、チョロいよね〜」
そう言って夜宵は私の頬をつつく。我ながら恥ずかしいが、間違ってないし、好きなことには変わりないので、反論はしない。
「私を落としたんだから、責任取ってよね」
そう言って、今日も彼女と口付けをかわす。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます