水曜日「同棲百合」

第1話「よろしく」

「本当に良いんですか? 夜宵さん、もう大学卒業ですし、私となんて大した縁でもないじゃないですか」

 私は夜宵さんの住むマンションの部屋にお邪魔して、今更ながらそんなことを聞く。本当に大した縁も無いし、むしろ私が恩を返すべきなのに。

「良いの良いの。暁美ちゃん、見ていて不安だし、世話焼きな先輩に拾われたと思ってさ」

 そう、あくまで私が恩を返すべきなのは、そういう所に起因しているのだ。

 私はある日、大学内のカフェでランチを済ませて出ようとしたら、そこでようやく財布を忘れたことに気づく。そして、ちょうど居合わせた夜宵さんに代金を立て替えてもらった。私と夜宵さんは、それだけの縁なのだ。

「とにかく、可愛い後輩をほっとけないし、素直にあやかりなよ」

 夜宵さんはあくまで私を招き入れたいようで、何を言っても策を講じてきた。元々私にとっては悪い話でもないし、乗って損は無いだろう。そう思い、私は夜宵さんの部屋で、同棲を始めた。


「それが今やラブラブなんだから、チョロいよね〜」

 そう言って夜宵は私の頬をつつく。我ながら恥ずかしいが、間違ってないし、好きなことには変わりないので、反論はしない。

「私を落としたんだから、責任取ってよね」

 そう言って、今日も彼女と口付けをかわす。

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