後日譚①「同棲2人のクリスマス」
「こんばんは、しばらくよろしくお願いします」
12月25日。私と暁美は暁美の実家を訪れていた。数日前に連絡を入れたところ、クリスマス辺りから年明けまで居るといい、とのことで、私の仕事も暁美の授業も上手く休み、クリスマスから来た次第だ。
「君が、夜宵さんだね。まあ、上がってくれ」
暁美の父親が私たちを出迎える。そして私を見ると、一瞬訝しみ、すぐに居間まで下がって行った。一度は母が許すならいいと言ったが、やはり女性同士では許せないだろうか。それでも、説得しなくては。私達の幸せの為に。
「失礼します」
座ってテーブルを見つめる父親の視線の先には、アルバムが置かれていた。
「暁美の小さい頃だ。ちょうどクリスマス、暁美のパートナーになるあんたにプレゼントしてやろうと思ってな」
アルバム? 今、暁美のアルバムと言ったか? 暁美の方を見ると、恥ずかしそうに頷き、私のアルバムだ、と呟く。
「良いんですか? 自分で言うのもなんですけど同性ですし、まだ詳しい話もしてませんし」
なんというかこう、暁美の両親はあまりに寛容すぎないか? 私が悪人でも差し出しそうだが……
「もちろんやりたくはない。が、暁美が幸せそうなら良いんだ。それに、わざわざ同性を選ばないだろう? そういうのって」
そう言って朗らかに笑う暁美の父親は、私にアルバムを手渡す。思ってもみなかったクリスマスプレゼントに、暁美と目を合わせて笑ってしまう。
「メリークリスマス、いつか夜宵のアルバムも見たいな」
私も見せてあげたいなと思った聖夜だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます