第10話「正式に」
暁美の母が来た次の週末。私は役場から頂いてきた紙を明美に見せると、暁美は首を傾げてそれをじっと見つめる。
「ぱーとなーしっぷしょうめい?」
カタコトで読み上げた暁美は、やはりよく分からないようで、うーんと考えている。
「パートナーシップ証明制度って言って、お役所様が公式に、同性でも結婚同然ですよって、認めてくれるの」
その話を聞くと、暁美は嬉しそうにうんうんと激しく頷いた。
「つまり、私達は正式に結婚出来るってことだよね! やった!」
諦めていた念願が叶ったようで、本当に嬉しそうだった。その反応を見ると、私も決心したかいがある。
「暁美のお母さんが、許してくれたからね。お父さんにも挨拶に行かないとだけど、書くだけ書いちゃおう」
ちょうど年末、暁美も実家に戻って過ごすだろうし、色々と報告しておこう。私の家は、まあ、既に私との関係はないようなものだが。
「年末は暁美の実家で過ごして、挨拶することにしよっか。そして、帰ってきたら届出を出す。私達は晴れてパートナー」
私の提案に、暁美は興奮冷めやらぬようで、ずっと笑顔でうんうんと呟く。
「年末年始に好きな人と一緒って、いいね!」
私もそれは嬉しい。そう思ってくれることもだし、その状況もだ。よかった、この人と結ばれることが出来て。心からそう思い、二人で紙に名前を書き記した。
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