第10話「改めて」
休日、改めて私達は話し合う時間を作った。生きていく上で私達の関係はとても理解し難いものである。互いにその辛さに負けながら付き合うくらいなら、付き合わない方がいいという事も、考えなくてはならなかった。
「という事なんだけど、ハルはどう思う?」
私の考えを短くまとめ、ハルの意見、考えを求める。ハルにあの時の勢いだけで付き合いを認めさせてしまったら、歳上の立場として全く面目が立たないというものだ。
「私は、ずっと前から覚悟の上ですよ。と言っても、明季さんは3年前を覚えていないんでしたよね。とにかく、大丈夫です」
私の記憶から消えたらしい3年前、ハルは私に告白をしていたらしい。それからもここで暮らすまでにずっと悩んでいたそうで、なるほど、心配はなかったのかと安心する。
どちらかと言うと、問題は私だな。
「よーし、私も覚悟を決めなきゃね!」
元気よくそう宣言して、ハルに向き直る。ハルは私との付き合いをずっと悩みながらも求めてくれたんだ。私も、相応の態度で臨まなくては。
「ハル、私との付き合いを本当に認めますか」
私は最後にそう問いかける。これが、最後の確認だ。咎められるような愛を、閉じ込めるか、解き放つのか。その選択を、ハルにさせる。
「もちろん、よろしくお願いします」
ハルの間も置かずに答える姿に、私自身嬉しくなってしまう。
そうして、私達は互いに合意のもと、付き合うことになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます