第10話「ずっと」

「告白でペアのネックレスは、ちょっと重すぎるよ」

 私の差し伸べた手に握られているネックレスを見て、雪花は苦笑いを浮かべた。重すぎる。そうか、ダメだったのか。

「ごめん、ちょっと、変だったね。重くて、無理だよね」 

 苦し紛れにそう零し、ネックレスを仕舞おうとするが、その手を雪花は掴んで止める。

「無理だなんて、言ってないよ。重いとは言ったけど、まだ返事してないって」

 そういうと雪花は、私の手を強引に開き、ネックレスを取って首に回し始めた。こんなに強引で、強かな人だっただろうかと思う間に、雪花の首元は、私のネックレスで彩られる。

「うん、嬉しい。重いなんて言ってごめんね。びっくりして、咄嗟に冷たい言葉しか出なかった。私からも、お願いします」

 やっぱり、綺麗だ。制服の上から覗く、小さく彩る輪に、私は目を奪われていた。それでも雪花の言葉はしっかりと届いたし、それが嬉しくて、余計に私は何も言えなくなってしまった。

「やっと、唇にできるよ」

 私が動けなくなってしまったのをここぞとばかりに雪花は近付く。

 ふと現実に意識が戻ると、雪花の唇は初めて私の唇へと、触れた。季節柄、少し冷たくて、それでいて、不思議と心から幸せだと、実感出来るキスだった。

「じゃあ、これからもずっと、一緒だよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る