第7話「避けられない事」
「どうしよう……母さんが会いたいって」
ある休日の朝、暁美は自分の携帯にかけられた電話を受けると、慌てた様子で私に泣きつく。母さんが、会いたい?
「夜宵とやってたブログが、私だってバレた……」
なるほど、と、落ち着いて考える。きっと暁美の母は怒っているだろう。暁美が泣きついているのを見るに、それは明らかだ。娘が異性とではなく、同性と付き合い、それを高らかに主張する様は、親にしてみれば内心穏やかでは無いのだろう。孫の顔は見たいだろうし、娘が少数派であることが耐えられないのも、分からないでない。でも、それは親が矯正することだろうか。いや、そこまでするとは決まってないし、私の考えすぎだろう。多分今の私は暁美より焦っている。愛するパートナーを理不尽に奪われないかと、恐れている。
「話して、分かってもらうしかない、かな」
そう、祈るしか無かった。私は自分の同性を愛する気持ちで、親と決別することになったから、特別暁美の話に緊張が高まる。分かってもらうしかない。関係を、上手く取り持つためにも。それは、自らの親への償いでもあるのかもしれない。
「大丈夫。ちゃんと話して、ちゃんと説得しよう。ダメでも、諦めないでさ」
そう言って、私は暁美を、そっと抱きしめる。自分の思いと一緒に。
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