第7話「きっと大丈夫」
「おはよう」
休み明けの月曜日。私は自然にそう言えたかイマイチ自信が無い。ぎこちなく言ったかもしれないし、変に早口になったかもしれない。
「おはよう、夏海」
ただ雪花のいつも通りの挨拶に、少しだけ安堵する。大丈夫、いつも通りの朝だ。
しかし、昔を思い出してから改めて雪花を見ると、大なり小なり気恥ずかしさがある。昔から好きで、今もなおその思いに変化がない私の感情は、雪花を捉えて離さない。
「あれ、寝癖でもついてる?」
あまり見すぎたらしく、雪花はそう聞いて首を傾げる。なんでもないと返すが、内心穏やかではない。ただ自覚しただけで、そんなに変わってしまったのか。
「雪花は、私が小さい頃から変わったと思う?」
特に考えもせず、不意にそんなことを聞いてみる。今の私が、昔と比べてどう見えているのか、何となく気になった。雪花は急だなあと少し考えるが、すぐに答えは出た。
「どうだろう、あんまり覚えてないや」
ただ、約束だけを覚えていると、雪花は付け加える。その約束の主を、雪花は覚えていないようだった。
「そっか、そうだよね」
いつもみたいにケラケラと軽薄に笑って話を流す。質問の真意など、悟られないように。
「私も、約束くらいしか覚えてないや」
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