第6話「同性恋愛相談……暁美×夏海」
「珍しいな、夏海ちゃんからなんて」
日曜日、私は以前のバイト仲間で仲の良かった夏海に、会って話がしたいとの事でカフェに来て待ち合わせていた。春先、夜宵と同棲してバイトをやめても暫くはメールで話したり、たまに会ったりと、それなりに交流はあったが、秋が来る前にはそれも無くなっていた。
「待たせてすみません。久しぶりですね」
少しスマホをいじっていると、夏海が来たので席に促してスマホをしまう。久しぶりに会い、季節が巡ったのもあって、防寒着が目新しい。
「えっと、話って、何かな」
夏海が注文を終えるのを待って、早速本題に入る。あまり盛り上がるような話題の共通点がある訳でもないし、今はそっちの方が楽だ。
「えっと、暁美さんって女性の方と交際してるじゃないですか。それでちょっと聞きたくて」
私の同棲で聞きたいこと。まさかその話題で話したいとは思っていなかったが、それ位しか急に呼び出すようなこともないかと納得する。
「同性の子って、どうしたら付き合うところまでいけるんですか?」
いきなりのダイレクトな質問に、私は面食らってしまう。とはいえ、そりゃあ交際の話題ならそれくらいかと、思い直して話を聞く。
「とはいえ、私は告白された側だしね。でも夏海ちゃんなら、大丈夫なんじゃない?」
ケーキを口に運びながら、気休め抜きに大丈夫だと返すと、夏海はわからなそうに首をかしげる。甘いな、ケーキも恋バナも、甘くて飽きない。
「だって、夏海ちゃんはいつも受け身だからさ。私と同じ気がする。人に動かされた感じ」
だから、夏海ちゃんを動かした人が、夏海ちゃんの告白を断るとは思えないと、私は断言した。
「ありがとうございます。でも、暁美さん一つ勘違いしてますよ」
夏海は私の答えを聞くと、クスリと笑って自分のケーキを食べ切る。そうして、私にしてやったとばかりに笑みを込めて続ける。
「私、案外行動的だったみたいですよ」
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