第6話「あなたと何処までも」

「本当にこれで良かったの?」

 翌日、私達は結局行先も決めないで行き当たりばったりに歩く事になった。いつも月美は私を振り回したり、一人で色々な場所へ行ったりするから、退屈すると思ったが、本当に私とならどこへでも行けるらしく、私の問いにも笑顔で答える。

「大丈夫だよ。こうして歩いてるのが充分楽しい。姉さんは退屈?」

 まさか。退屈なんてするはずもなかった。月美と歩いていると、ものの感じ方の違いがいつもよりわかり易く現れて、見ていて飽きないのだ。

「楽しいよ。歩くだけも、悪くないね」

 笑って返す私に、満足したのか笑みを返す月美。そうして笑い合いながら歩いていると、クレープ屋の屋台が見えてきた。

『あれ食べたい』

 指をさして、声を揃えて言ったものだから、私達は声を揃えて笑う。やっぱり双子で、根っこは同じなんだなと、実感する。

「じゃあ、もう1回双子試験しよう」

 クレープ屋台まで来ると、月美は楽しそうに提案する。好きな味をせーので指をさそうというのだ。味か、メニューのどれも美味しそうだが、どうしようか。

『せーの!』

 私達の指が指し示したのは、チョコバナナクリーム。ピッタリと、二人で同じ場所。

「良いね。二人で半分ずつにしよう」

 購入してまた歩きながら、クレープを半分に分ける。半分を月美に渡すと、嬉しそうに受け取った。

「やっぱり行き当たりばったり最高だね」

 そう言う月美の笑顔が最高のそれだったのは、言うまでもない。私は、今日を暫くは忘れられないだろう。

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