第4話「AIとよりも難しい恋④」

「ねえ、ちょっといいかな」

 それから暫くの日が経ち、私は想いを寄せる彼女に告白する事にした。結局先輩は私に大したことを教えてはくれなかったが、それでももう、尻込み出来なかった。前までの動けない自分を考えると、私の気持ちを前に動かしたのだから、先輩は何かそういう力を持っているのかもしれない。動かす秘訣を、教えたのかもしれない。

「あ、うん、いいよ。ここでも大丈夫?」

 気さくに返す彼女は、私の告白を受けても、その笑顔を続けて居られるのだろうか。それが怖くて、少し立ち止まって何も言えなくなる。

「あの、大丈夫?」

 心配そうに顔を覗かれて、すぐに我に返る。ここで、引き下がったら今までと変わらないのだと、自分を鼓舞して続ける。

「ちょっと、別の場所がいいかな」

 誰かに聞かれると、彼女にまで変な噂が立ちそうで怖い。と言うより、告白ってそんな大胆にするものでもないだろうし。

「分かった。屋上でもいいかな、寒いけどその分人も居ないし」

 そう言って席を立つ彼女の後ろをついていく。もう少しで、私は彼女との関係を変える。それがたとえ、悪い方向へ転んでも、私は泣いては行けない。私が望んだことだから。

 私はAIに、作り物の心に、負けたくないから。

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