第5話(1000PV記念)「1000日前の私達」

双子百合(2人とも20歳)

「姉さん、レポート写させて」

 大学のレポート提出期限の前日、月美は今になって手をつけたらしく、頭を下げて私のレポートを拝借しようとする。

「ダメだって、期限は一緒でも学部が違うでしょ。一緒のテーマじゃないんだから頑張って」

 少し冷たいかもしれないが、私にはどうしようもないのでそれだけ言って私は寝床に着く。


幼馴染百合(2人とも14歳)

「ポッキーゲームはポッキーの日にして」

 放課後、雪花の家。何故か私はベッドに押し倒されてポッキーゲームを強要されかけていた。ポッキーゲームとは縁遠い2月なのに。

「これが見られるのは11月だからセーフ」

 いや、見られる日ってなんだ。今の話をしてくれ。そう思いながら、私は押し負けてポッキーゲームをさせられる。


同棲百合(夜宵21歳×暁美18歳)

「入試会場はこちらでーす!」

 講義も無いのに何故私は大学構内で入試の案内をしているのだろう。そんな愚痴を秘め受験生の群れを眺める。

「うわぁ! ごめんなさい!」

 やっぱり居た。迷ってる内に並に押されて転ぶ人が。すぐに助け、手を差し伸べる。

「受験、頑張ってくださいね」

 よく考えれば、それが私と暁美の最初の出会いだった。


ケンカ百合(芽衣18歳×愛優16歳)

「出会いも予兆もない私達に1000日前があるわけないでしょ!」

 よく分からない理由で怒られた事に逆上し、私も愛優に怒りをぶつける。

「悪かったね、会って1年しか経ってなくて」

 そもそもなんで私はそんなキレられ方をされたのか、いまいち腑に落ちない。

「愛優は私ともっと早く出会いたかったと?」

 それなりに思考して、愛優にぶつけてみる。不意の逆襲に頬を染める愛優は、可愛かった。


年の差百合(明季22歳×ハル14歳)

「明季さん、今日はお邪魔します」

 仕事にも慣れてきた冬のある日、姉の娘が私の自宅を訪問して来た。

「いや、どうしたの急に」

 とりあえず上げながら話を聞く。

「いえ、お母さんの妹に会ってみたくて」

 そう言って私を見る姪のハルは、とてもうっとりとした目をしていた。一体どうしたのか。

「また会う時、お相手がいないのでしたら、私を貰ってください!」

 突然来て突然告白されたのは、あまりに鮮烈で、まるで夢のように思い、いずれ忘れてしまった。


1000PVありがとうございます!これからもどうぞよろしくお願い致します!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る