第4話「休日デート(偽)」

「芽衣、デートしよう」

 丁度休みの日曜日、丸一日休み倒してやろうかと思ったが、9時にはどういう訳か愛優に起こされて訳の分からないことを告げられた。

「なんでアンタと行かなきゃいけないわけ」

 つい最近の既視感を覚えるが、私はそれでも休日を邪魔された苛立ちに睨みを効かせてしまう。それもあろう事かデートだと言うのだから、私の疑念は加速するばかりで。

「カフェでカップル限定メニューが食べたいの。同性でもいいらしいから」

 いや、必死に言われても私は迷惑だし、他に誘える人はいなかったのか。少しだけ思案すると、私は愛優の表情にニヤリと笑みがこぼれる。

「そう、そんなに私が良いんだ。恋人の代わりは、私が良いんだ。ふぅん」

 愛優の祈るようなねだるような表情を不意に撮る。愛優は休日の度に友人と出掛けているのだから、その人達でも良いのだろうに、私を選んだのだ。それはもう、そういう事だろう。

「も、もうそれでもいいから行こう!」

 顔を真っ赤にしながらジタバタとその場で歩き回る愛優を見て笑みとともにベッドを出る。

「そうね、これでおあいこだから」

 そもそも私は感謝であって好意の吐露でないからあいこどころか勝っているが、まあ、良いだろう。勝負でなくて、ただの意地の張り合いなのだ。むしろ、互いの好意は認めた方がいいだろう。

「行こう、今日は恋人なんでしょう」

 少しだけトゲの取れた心で手を差し出す。愛優もつられてか素直に繋いでくれて、少しだけ心の距離が短くなるのを感じた。

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