第3話「理想と現実」
「そうじゃないんだよね……」
夕飯を食べ終え、ソファに二人並んで日課のブログ執筆をパソコンでしていると、暁美は溜息をつきながら自分のスマホ画面の一点を見つめていた。
SNSで、ちょうど同性愛に対して否定的な言葉が書かれている。否定的、とは言っても、大した差別発言や暴言が書かれていた訳では無い。
「二次元の百合は可愛いけど、三次元ってちょっと考えにくいよね、か。うーん」
なるほど、そういう見方があるのか、と少し考えさせられる。確かに百合というのはアニメや漫画など多岐にわたって人気を集めているのは知っている。同性愛理解がお世辞にも深いとは言えない日本でさえ、いや寧ろ日本で一大ジャンルとして扱われるほどだ。
しかしまあ、溜息のひとつもつきたくなる。二次元が良いけど三次元は駄目って。
「私はアンタらの許可あっての恋愛をしてる訳じゃないんだっての!」
暁美は画面に向かって頬を膨らませて怒っている。今ブログを書かせたら荒れそうだなとパソコンをこちらに寄せ、私が書き込むことにする。
『私達の愛は、私達が決める。だから、誰がなんと言おうと、私達は幸せなんです』
半ば自分に言い聞かせているみたいだなと、少し苦笑しながら、それを文章の結びとした。
いつか誰もが、祝福してくれますように。
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