第2話「AIとよりも難しい恋②」
私は、彼女に告白した方がいいのだろうか。勿論、告白したら死ぬ訳では無いし、捕まることも無い。ただ、私が彼女に嫌われる可能性が高く、挙句周囲に奇異の目を向けられるかもしれないだけだ。それを超えるだけの恋を、私は秘めていないだけの事だと、理解しているつもりだ。しかしそうして諦めながらも、苦しいほど胸を締め付けられるのが、また私を悩ます。
悩みながら進める仕事は全く楽しくないし、むしろ進みも悪く、そろそろ上司に怒られるのではないだろうか。さらに言えば、私の職場はAI開発を進める場所であるため、余計に面白くない。
「貴方に愛を伝えられたら、私はなんでも出来るのに」
そう、虚空に呟いてみるが、誰にも届くことは無いし、仕事も進まない。彼女のデスクを覗くと、ウトウトとしている。マッサージしてあげたい。いや、ダメか。
「いつもあの子を見てるね。起こしてあげたら?」
不意に声をかけられ、びっくりして後ろを向くと、隣の席の先輩がニヤニヤと私を眺めている。バレてしまっただろうか、私の恋心。
「ま、まあ、普段から眠そうですよね」
とりあえず軽く返しながら、彼女の方へ向かおうとすると、先輩はからかうように付け足す。
「頑張れ、恋する乙女」
その言葉に、足が止まる。なんで、と、思う頃には、先輩はデスクに戻っていた。
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