金曜日「年の差百合」
第1話「小悪魔JKな私の彼女」
私が男に恵まれない事務方の冴えないOLだという情報は、おそらく誰も望んでないだろうし、私だって自ら晒そうとは思うまい。指摘されるのは、余計にやめて欲しい。
「あんた、どうせ今も独り暮らしでしょ? ウチのハルをしばらく住まわせてやってよ。姉のお願いだからさ」
お分かりいただけただろうか。私の姉の、鮮やかな言いくるめに秘められた技術を。初めに私が最も指摘して欲しくない所を指摘し、何も言い返せない隙をついて約束を取り付けるのだ。私はあえなく完敗。姉の娘、所謂姪っ子を住まわせなければならなくなった。
「明季さん、これからよろしくお願いしますね」
それから数ヶ月後、春のある日に姪のハルは私の部屋に越してきた。高校が近くにあるようで、私の家に住まわせるのが1番都合がいいらしい。それだけのために、私は犠牲となるのだ。
「まあ、よろしく。悪いね〜、何も無い部屋と、なんにもない女で」
なにか皮肉を言われた訳でもないのに、ついつい嫌味ったらしく言うのは私の悪い癖だろう。それでも、若々しく瑞々しい女子高生が、私は少し妬ましかった。
「じゃあ、私が彼女になってあげる」
その言葉に対して、私が思考をはたらかせ、理解する頃には、私はまた別の刺激を与えられていた。
「明季さん、ファーストキス? だったらごめんね、私が頂いちゃった」
私は、小悪魔のような姪に、初めての口付けを奪われてしまったようで、これから、付き合うようになるらしかった。
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