木曜日「ケンカ百合」
第1話「嫌な奴」
大学寮でのルームメイトは、心から嫌な奴だった。後輩で、いつも目つきは悪い。マイペースで敬意どころか私がいるとも思っていないんじゃないかと最初は思った。
おおきな喧嘩こそあまり無かったが、小さな喧嘩はほぼ毎日ある。
「ん、弁当」
ある日、昼に私はその後輩、愛優から弁当を渡された。確かに私は弁当を作らずに学食を使っているが、それがどうして愛優から弁当を受け取ることにつながるのか。
「別に頼んでないんだけど」
普通は感謝すべきところなのだろうが、今までの素っ気ないでは済まされないような態度の後では、素直な言葉が出ない。
「一限がないからわざわざ作って来てあげたの! 有難く受けとって!」
そう言って押し付けて愛優は行ってしまった。私に毒づくさっきの愛優の顔は、どこか赤らんでいたようにも見えた。
帰ったら、少しくらいは感謝を伝えようとも思ったが、多分私も彼女も、素直にはなれないだろうと、呆れながら溜息をこぼす
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