第2話 2

 

「それで?どうしますか?」


「うーん・・・冒険者ってどうやってなるかアルトは知ってる?」


「・・・・・まさか知らずに言ってたんですか?」


 又もや、はぁ・・・と僕はため息をついた。

 何故にこうも見切り発車なのだろうか?本気で彼女を心配する。

 それでも、何とかやっていけるのだから世の中は不思議だ。


「取り敢えず街に行きましょうか。そこで冒険者を纏める『冒険者ギルド』がありますから、登録しましょう。所持金も無い事ですし」


 そう、これは切実な問題だ。

 なんせ今までは、森に住んでいた為、自給自足の生活で十分事足りた。

 日用品なども対して困らない。


 何故なら、僕は師匠とは違って錬金術も使えるから・・・。

 因みに師匠は僕が錬金術を使えることは知らない。

 だって、師匠の為に僕は覚えたんだから・・・。


「じゃあ街にレッツ・ゴー!」


 と意気揚々と言ったかと思えば魔法陣を展開した。

 コレは転移の魔法陣だ。

 本当に初っ端から規格外だ。これ高等魔法ですけど・・・。



 *  *  *  *



 一瞬にして移動した先は、王都だった。

『王都・イエルタ』このスヴェール国の首都だ。

 そしてこの大陸一番の大国であり、勇者を輩出した国。


 街に入るが、あまり昔と変わったことはない。

 建物が新しくなったとか、ちょっと建築様式が変わったな・・・ぐらいだ。


 なんせあれから300年しか経ってない。

 そうそう戦が無い限り建物も壊れる事がないだろう。


 昔より魔法は身近なものになったし、錬金術も発展している。

 建物の保護や修復なんて簡単に出来る様になっただろうから。


 辿り着いた冒険者ギルドは大きかった。

 今は魔族や魔王と言った最も危険な者達と相対することはないが、魔物は別だ。

 今でも、魔族・人間問わず被害をもたらす。


 魔族が魔物を使役して、人にけしかけているなんて絵空事だ。

 実際には双方に被害が出ているんだから・・・。


 取り敢えず、冒険者登録をして、幾つか依頼を受けないと今日寝る場所も食べる物もない。

 まぁ、転移して家に帰るのも手だが、師匠は嫌がるだろうし・・・。

 僕は手始めに冒険者登録をするべくカウンターに向かった。


「こんにちは、依頼でしょうか?」


「いえ、冒険者登録をお願いします。僕と彼女の」


 人好きする笑顔を見せる女性は、僕と師匠をみると用紙を二枚出してきた。


「こちらに、お名前を」


 言われるがままに名前を書き、女性に手渡す。

 因みに師匠は物珍しいのか、周りをきょろきょろしているので、僕が記入した。

 どこかに行ってしまわないだけマシだ。


「はい。確かに、『アルト』さんと『メリッサ』さんですね。ではこちらの石板に一人ずつ触れて下さい。冒険者カードを登録しますので」


 女性の言う通りにそれぞれ登録をする。


「では、簡単に冒険者の仕事を説明しますね。まず冒険者にはランクがあります。F~Sまでになり、お二人はFランクからのスタートですね。ランクを上げると、受けられる依頼が増えます。それに比例して報酬も上がりますが、危険度も上がりますので注意してください。依頼を失敗されると報酬は勿論出ません。失敗が度重なるとランクが下がってしまいますので、気を付けて下さい。それからランクを上げる方法ですが、一定の依頼をこなすと上がる方式になっています。こちらは自動的に冒険者カードに記載がされますので虚偽の報告は出来ません。何か質問はございますか?」


「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」


「いいえ、依頼はあちらのボードに張り出されていますので、そちらを持ってカウンターにお越しください。受付をしますから」


 お礼を言って師匠と二人、依頼ボードに向かう。


「師匠どれにしますか?」


「ふむ。これとかどうかな?」


「どれですか?・・・師匠、これAランクですよ。受けられません。Fのを探して下さい」


 膨れる師匠を諫めて、依頼を選ばせる。

 よりにもよって師匠はAランクのワイバーン討伐を指さしたのだ。

 そりゃ師匠と僕なら何も問題はない。でも規律上受けられのだから仕方がない。


「これならいいでしょ?」


 と次に見せて来たのは、『薬草採取』と『キラービー』と『ゴブリン』の討伐だ。

 これなら問題はないし、この三つなら今日の宿とそこそこの食事は食べれるので、これにした。



 結果。

 薬草採取は手慣れた物だったので直ぐに終わり、キラービーとゴブリンなんて直ぐに討伐出来た。


 魔法で一発だ。

 しかもゴブリンメイジ・ゴブリンキングと出てきたが、難なく討伐。

 そのおかげで、今日でランクDまで上がった。

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