No.27 悪役王女と恋する乙女
時は経ち、私は小学四年生になった。
レイ達とはクラスが離れたので私は今ぼっちである。
……レイ達と離れるのは別に良いのだが、ユーリと離れたのは重い。ユーリ以外に友達と言える友達がいないからなぁ……。
「フィファナテ様!次は移動教室です。急いで行かないと授業に遅れますよ。」
「へっ?あ、そうでした!ありがとうございます。」
にゅっと出てきたディアカルマ先生に驚きながらも私は席を立ち、準備を持って教室を出る。
ほんとにだだっ広いなこの校舎…。
私が前世で通ってた学校の3倍以上はあるんじゃない……?
授業に遅れまいと小走りで教室へと向かう。
「きゃっ!」
角を曲がろうとした時、ドンッと誰かにぶつかってしまったのだ。私は思い切り尻もちをついた。
「……あらあら……ごめんなさい。私の不注意でしたわ。」
うわめっちゃ綺麗な人だな……。なんかこう、輝いてみえる……。
「どうかしまして?」
いけないいけない。見惚れてた……。
「…………いえ。私こそすみません。周りをよく見ていませんでした。」
差し伸べられた手を取り、スッと立ち上がる。
「お怪我はありませんか?」
やっ、優しい……!美しいうえに優しいなんて…。え、神かな?
キーンコーンカーンコーン……
……なんて思っている場合ではない。
予鈴のチャイムが鳴ってしまった。このままでは授業に遅刻する!
「すみません!えっと、これで失礼しますね!」
それだけ言い残し、私は教室へと向かった。
自分に向けられた冷たい視線には気付かずに……。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
「……と言うことがあったのよ。どう思う?」
フロウと共にベッドに仰向けで寝転ぶ。
「…へー。すごいのすごいの〜。」
「ほんとに綺麗だったのよ!?あぁ、また会えないかしら。」
ごろりとフロウの方を見る。
そうするとフロウも向き直ってくれた。
「……失礼します姫様。…その、お客様がいらっしゃっておりまして……」
コンコン、と扉をノックし、そっと入ってくるメイド。この子は最近入ってきた子だ。
「……そう。わざわざありがとう。お通しして。」
すっとメイドが礼をしてさがる。すると代わって出てきたのが……。
「こんにちは。」
ハッ。眩しい。まさかこの人……今朝の……。
「ごめんなさい突然。驚きましたでしょ?」
「……へ、いや、あ、はい……。」
やばい。上手く思った事が話せない……。いや、ほんとに綺麗だなぁ。蜂蜜色のサラサラヘアーに藤色の瞳……。睫毛も長いし肌も白いし……いやもう文句の付け所がないッッ!!それに右目の下によく見たらホクロが……。それもまた綺麗!!!
「……あの、それで、今日はどう言ったご用件で?」
「あぁ。そうでした。実は…」
ゴクリと唾を飲む。
な、なんだか空気が重い気がする……。
「その、貴方がたまに……」
「たまに?」
綺麗な人の頬がほんのり赤に染まる。
「たまに連れてらっしゃるその……」
たまに連れている?……フロウかスノアかな…。まさかフロウかスノアがこの綺麗な人に粗相を……!?
「白い髪に桃色の瞳をしている男性とはどのような関係なのでしょうか!!!」
ピクリとフロウが反応する。
「……え?」
白い髪に桃色の瞳……あ、スノアですね。え、まさかこの綺麗な人……
「……従者です。」
「ただの従者ですか?」
「はい。」
「恋人とかでは」
「断じてないです」
「……良かったぁ……。あ、ここだけの話…その、私……その白い髪の男性に、恥ずかしながらこっ、恋をしてしまいましたの…。」
「えっ!?!?」
フロウは目を見開いて綺麗な人の方を見ている。
「そこのメイドさんも、この話は内密にお願いします…。」
「……分かりました」
フロウは笑っているものの、口の端がピクピクと動いている。
「……あの、その方のお名前はなんと言うのでしょう……?」
もじもじしながら綺麗な人が聞いてくる。やはり美しい顔をしている。
「……あぁ、スノアです。」
「……スノアさん……っ!素敵な名前…っ」
頬を赤らめ、嬉しそうにする綺麗な人……
って、私まだこの人の名前聞いてない!!
「あの、そういえば貴方の名前を聞いておりませんでした。教えて頂いても……?」
「……あっ、そうでしたね。私はリアーナ。リアーナ・ロースウェンです。」
リアーナさんかぁ……。……ん?リアーナ・ロースウェン?チラリと制服を見てみると……黒だ。どちらの国の出身でもない。ということは……
「リアーナさんって……」
「一応ロースウェン帝国第1皇女です。」
照れくさそうに微笑むリアーナさん。帝国……!?ロースウェン帝国はエレメージェ王国より大きい国……。でも、何故まだ2つの国の者しか通えないこの学園で……。
「何故この学園に……」
「視察に来たのです。いずれ我が帝国の者も通う事になるので。」
「へ……?」
どういうことだ。確か帝国の人がこの学園に通う事になるのは恋学2なはず。
まだ1にも届いていないのにどうして……。
「……あ、すみませんまだこちらが名乗っていませんでした。私の名前は……」
「知っていますよ。フィファナテ・ディア・センテュリオさん。
ねぇフィファナテさん。私達お友達になりましょう?いいお友達になれると思うの!」
「えっ、えぇ。是非。私の事はフィファナテかフィア、と呼んでもらって構いませんよ。」
「ではフィアと呼びますね!私の事もリアーナと……。」
「えぇ。よろしく。リアーナ。」
「早速なのだけれど……1度、スノアさんを呼んでいただけない?もう一度、お顔をよく見てみたいの……。」
リアーナ…欲望に忠実ね。綺麗な人だから許す!!
「……分かったわ。スノア。」
パチンと指を鳴らすとスノアが現れる。
「どうした主……。どうしましたか姫様。」
流石に人前でタメ口は駄目だと感じたのだろう。直ぐに敬語に直した。
「……リアーナが貴方に会いたいと言っていたのよ。」
「そうですか。俺なんかに会いたいと……。」
スノアの目が『そんな事で呼ぶな』と言ってる。ほんとにすまないと思ってはいる。
「……スノア……さん。」
「なんでしょう?」
「明日の休日、私と2人で街に行きませんか!」
おぉ。デートのお誘い……さぁ、気になるスノアさんの返答は!
「……嬉しいですが、俺なんかと行っても……」
明らかに面倒臭いと目が悟ってる。もう少し抑えられないのか。
「……良いんです!それとも、私と行くのは……」
「そんな事ありません。では明日街に行きましょうか。」
諦めたようだ。目が死んでる!!
嬉しそうにするリアーナの横で目が死んでるスノア……。ちらりと横にいるフロウを見てみると不機嫌そうにしている。これで無自覚ってすごいよね。逆に。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
はい。こんにちは。桜乃春妃です。
お知らせ(?)のコーナーです。
まず、フォロワー様が300人を突破致しました。ほんとにこんなやつの小説をフォローして頂きほんとに感謝してます……。
えー、次に、1話〜26.5話を大幅に修正していきたいと思っております。キャラの名前も少し変わります。すみません。文章も少ないですし、個人的に気になるところが結構あるので……。
最後に、これまで星を付けてくださった方や、応援、応援コメントをくれた方々、フォロワー様達に改めて感謝を致します(*^^*)
次回、フロウちゃんかスノアくんかフィファナテ視点になります(まだ定まっていない)
これからも応援、レビュー等よろしくお願いします(´∀`)
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