No.19 悪役王女と恋バナと妖精


ユーリと友達になってから数日。

私達は、毎日共に学校に行っていた。

ユーリの話はいつ聞いても飽きなくて、とても楽しかった。

今まで読んだ面白い小説の話。

他の国に行った時の話。

勉強の話……。

1日1日話題が尽きなかった。


「フィア!あ、あのね。今……そこにあったのがね……」


このように、自分にあった出来事を報告しに来てくれている。

なんと可愛い……。

「やあフィファナテ。」

おっと突然のベリル。に顔が良いんだからもう少し顔を近づけないようにしてくれないかな……

「ベリル。此方私の友達のユーリと言うの。」

「……ふーん。こんにちはユーリ嬢」

「……あ、えっと、ユーリで大丈夫、です……えっと、あの、その、宜しくお願いします、べ、ベリルさん!」

「あぁうんよろしく。あ、そうそう僕先生に呼ばれてた。じゃあね」

ひらひらと手を振り、教室を出て行った。

風みたいな人だな……。

……あれ?

ユーリの様子が……。

「……ユーリ?」

ユーリは

ポーっと頬を赤く染め、ベリルの向かった方をじーっと見ている。

「………………はっ。ど、どうしたの?フィア。」

「もしかして……。」

「……いや、その、えっと……」

「ユーリって、ベリルの事ぐぁっ……むぐぐ……!?」

「それ以上は、ここでは駄目なの。乙女の秘密を暴露する気なの?」

「……あ、ごめんなさい……。

そうよ!じゃあ私の部屋で放課後女子会しましょう!!!」

「え、あ、うん……?」






+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+


「……さて。お昼の続きだけれど。やっぱりユーリってベリルの事好きよね?」

「……う、うん……」

「なにを、どこを好きになったの!?外見?中身……は無いかな……?」

「え、えっと、前に道に迷った時があって……

その時にベリルさんが現れて道を教えてくれたの。で、その教えてくれた時に最後に見せてくれた笑顔が……」

ぴぴぴと顔が赤くなるユーリ。可愛いなおい。

「……なんでフロウも出席なの。」

「そりゃあ女子ですからね!!フロウは好きな人とかいないの?」

「好きな人……。オベリスク様とフィアなの。」

「ちっがーう!!恋愛対象!!」

「……冬の妖精……?」

「冬の妖精?好きな人!?」

「好きな人、というか好きな妖精だけど……。

そう考えたらそいつが真っ先に浮かんだの。

ってか好きじゃないの。今はオベリスク様の所で働いている筈なの。」

「多分、ねぇ……無自覚なだけかも……」

「なにが……。」

「フ、フィアは好きな人、いないの?」

好きな人……好きな人……?前世ではレイ様一択だったけど、今はいないわよね……

「いないわね!」

「えぇ……。」

「ところで……。冬の妖精は、オベリスクのとこにいるのよね?」

「え、あぁ。そのはずなの…………まさか。」

「行きましょう!白銀の時計塔へ!!」








+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+


「本当に良いのかな……。」

「いーのいーの!何かあったら……フロウに責任押し付ける。」

「勘弁してなの……。」

コツコツと階段を上がる。閉鎖されていた白銀の時計塔に入った手段はご想像にお任せします……


えーっと、確かここら辺に隠し部屋が……

凹凸がある場所……ここだな。

凹んでる部分を押した。Yes!隠し部屋!!


「ユーリー!フロウー!あったー!」

「はぁ……一生見つけなければ良かったのに……。」

「あはは……苦労してますね、フロウさんも……。」

「本当なの。」


私は水晶に触れる。

光が増して輝く。

現れたのはいつぞやのじいちゃん少女。

「久しいのう!1年ぶりくらいかの?……儂の作った妖精と……その娘は?」

「久しぶり。この子はユーリよ。で、早速お願いがあるの!」

「な、なんじゃ……そんなにコーフンして……ヌシは牛かなにか……へぶっ。」

「誰が牛よ!……そうそう。冬の妖精に会わせて欲しいのよ!」

「……神にチョップが出来るのはヌシくらいじゃぞ……?……冬の妖精だったか?神使いが荒い人間じゃの……。」

オベリスクが空中に円を書くと、シュン、と雪の様に白い髪、薄桃色の目をした妖精が現れた。

「……お呼びですかオベリスク様……誰だ貴様ら。」

「こんにちは。私フィファナテって言うの。宜しくね。こっちはユーリよ。」

「……フィファナテ……ってあの、オベリスク様の愛し子……?…申し訳ありません。愛し子様とは梅雨知らず。…とんだ無礼をお許しください。」

「堅苦しくしないで。覚えてるかしら!春の妖精!」

私はフロウをぐいっと引き寄せ、冬の妖精の前に出した。

「……あー、あのお転婆娘……。」

「黙るの。」

ポンっとフロウが小さな姿に戻った。

久しぶりに見たなその姿……。

「……あぁそうだフィファナテ。こいつをもらってくれんか?」

「「「……は?」」」

「こっちは夏と秋で足りとるしの。折角じゃし!さ!名前をつけるのじゃ!」

「……えぇ……あんた本当に神様……?」

「黙れ!神様じゃい!」

「……あぁ、名前……名前なぁ……」

「そこは無視するんじゃの……。」

苦笑を零した幼女オベリスクにくすっと笑ってしまった。

「……スノア、はどうかしら……?」

「……まぁ良いだろう。契約は成立したぞ。主。」

「フロウは反対なの……。こんな奴と一緒にいるとか、マジ信じられないの……!」

とか言いつつ顔が少し赤いフロウ。

すごい可愛いんだが。

「……2人とも。人間の姿になってくれない?」

「……お易い御用だ」

「……お易い御用なの」

「真似すんな……」

「真似してるのはそっちなの。」

とかブツブツ言いつつフロウは元のメイド姿に。

スノアはうちセンテュリオの王家の紋章が入った執事服を。

いや様になる……。

「似合ってねーな俺……」

「本当なの。」

およよ?耳が赤いですよフロウさん……。

好きじゃないとか言って大好きじゃないの……。

「ねぇフィア……フロウさん、スノアさんの事絶対……」

「そうね。可愛いものだわ。」




ふと気付いたけど、

スノアの姿って、フロウを反転したような色だな……。

フロウは白い目でピンクの髪でしょ?

スノアは白い髪にピンクの目だもんね……。

これもまた、運命……?

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