No.16 悪役王女といらないサプライズ
この学園ももうすぐで始業式、並びに入学式の時期。
リンヴェルがもうすぐ新一年生として一応入ってくるそうだ。
レイは少しぎこちないが、きっと兄弟仲良くできる時が来るだろう。
にしても……兄弟は憧れる……。
前世で一人っ子だったから余計に今世では妹か弟が欲しい……。
レイが嫌ならリンヴェルをうちの養子にしたい位だ。
まぁあのお父様とお母様のラブラブな様子ならきっと今にも妊娠の報告が来たりして……。なんちゃって……そんなことあるわけがー……
「姫様!王妃様がご出産なされました!!学園には言っております!さ、早く国へ帰りましょう!」
……出産?
「……え。ねぇちょっと。私、妊娠されたとか聞いてないわよ?」
「……それは……国王陛下と王妃様がサプライズにとっておきたいと……出産まで黙っていろ、と言われまして……。」
困った様に目を逸らしメイドが答える。
この子も色々と苦労しているんだなぁ……。
「……そう。代わりにお詫びするわ。困らせてごめんなさいね。それと、呼びに来てくれてありがとう。」
パァ、とメイドの顔が明るくなる。
「謝らなくても良いんですよ!メイドは、主に従うものですから…………おっと。馬車を下に待たせていたのでした。行きましょう姫様!」
「えっ、ええ……。」
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
「お父様、お母様!」
バンッ、と私は勢いよく扉を開ける。
「あらフィファナテちゃん!!見て!貴方の弟と妹……双子よ!!」
双子……。いや可愛い……すやすやと寝息をたてて寝ている。お父様は隣で大泣き。そうだ。言わなければいけないことが……。
「……お父様、お母様。何故懐妊の事を黙っていたのですか??」
「違うのよフィファナテちゃん!サプライズで見せたら喜ぶかなって思ったのよ……ごめんなさい。」
しゅん、となるお母様に怒る気も失せた。
隣で「てへぺろ☆」的な感じで舌を出しているお父様にはもう娘スマイルはあげない事に決めた。
それにしても。凄い可愛いな私の弟と妹は……。
暫くして、私の姉弟達の名前が決まった。審議の結果
弟は「カイン・ディア・センテュリオ」、
妹は「シャリテ・ディア・センテュリオ」
に決まった。
まぁ私の妹と弟なだけあって凄く可愛い。
ふにふに……。
「……フィア。赤ちゃんが困ってるの……。やめてあげるの。」
フロウがにゅっと出てきて言う。
まぁ、少しやり過ぎだとは思っていたが、中毒性のあるふにふにさだ。
「……フィア。対面済ましたから帰らないといけないの。」
「……えっ。今日位ここにいても……」
「駄目なの。さ、馬車行くの。」
「この人でなし!!」
「フロウは妖精なの。」
ズルズルと引っ張られる。
あぁ、私の弟達よー!
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
「フロウの鬼。」
「だからフロウは妖精なの。さ、着いたの。授業は今日は参加しなくて良いらしいの。」
「そう。ありがとう。」
「……ねぇ。シャリテとカイン、私の事忘れないかしら!大きくなって誰貴方は悲しいわよ!?」
「さぁ。分からないの。多分忘れられるの……。」
「そんな……
センテュリオに帰るー!!!!」
「はーい、自主勉強するの。
まずここはー……」
なんか平然と授業始めてるんですが。
しかも、貴方最初馬鹿じゃなかった!?
なんか大人びてるんですけど色んなところが!!どこがとは言わないけど!
「……よからぬ事を考えているの。煩悩は消し去るべきなの。」
ペシリと私のおでこにチョップする。
これでも私、王女様でご主人様なんですが。
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