No.12 悪役王女と喧嘩と先生


「……おはようございますフィファナテ王女殿下。」

「……え?あ、はいおはようございます……レイゼルア、王子殿下?」

なにやらげっそりとした様子でいつもと違う挨拶をしてくるレイ。

「き、昨日の非礼、どうかお許し頂きたい。」

「気にしていませんわ。此方こそうちの侍女がごめんなさい……。」

「……はぁぁぁぁぁぁ。俺、猫かぶんの無理かもしんない……。あの生意気な奴いたろ?ピンク色の。彼奴の意見も正しいよなって思ってさ。

んで、今は王族としてポーカーフェイスを習得出来るようにすんだよ。」

「頑張ってね。レイ。」

王族としてポーカーフェイス??意味がわからないけど取り敢えず応援している、と少し微笑んで返すと、レイは一気に顔が赤くなり、私から顔を背けた。

「……なにしてるの?フィファナテ。」

「あぁベリル。お話していたの。」

「チッ。他にも男が……まぁ邪魔なだけだしいいか……。」

「へ?なんか言った?」

「なんでもないよ。はい。フィファナテ。」

チャリ。と音がすれば昨日私が作ったネックレスが首に掛かっていた。

「……あの、これ……。」

「うん。昨日作ってもらったやつ。2つ作って貰って少し改造したんだ。」

「なにそれ!なんだか凄いわね!」

「……そうかな?それよりフィファナテ。お揃い、だね。」

とベリルが言い、私のネックレスが掛かった部分をそっと撫でる。一瞬鳥肌が立った。


「似合っているよ。フィファナテ。」

ベリルが私の髪に触れようとした瞬間。

「ちょっ、ちょっと待った!!」

顔を赤らめたレイがこちらへ話しかける。

「……どうしたのかな?ベニトアイト第1王子サマ。」

「……その、フィアに触れるな!」

「……おや。フィファナテは君の物なの?それとも、フィファナテには触れてはいけないという法律でもあるの?」

「いや、それは、そのー。」

「無いよね。まさか、嫉妬とかでは無いよね??婚約者でも何でもない。ただの友人に。」

「うっ……」

「だから嫌いなんだ。君みたいな人が。」

「……」

「そんなのだから、お飾りの第1王子と言われるんでしょ。」

皆がこちらを見ている。相当目立っているようだ。

「俺はーッ「静粛に。」

ビクッと皆が驚く。無論、私も驚いた。

声にも。声の主にも。

「授業の時間です。くだらない喧嘩なんてしてないで、席に座りなさい。もう少しで2年生になるんです。そんなような先輩では困ります。……早く教科書を開きなさい!!」

……そう。激おこしてる、先生は……

ディアカルマ・ロードクロサイト。私の元家庭教師だ。




オマケ?

+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+







授業は、全く集中出来なかった。

放課後、私は学園内にある図書室に向かった。すると、いきなり黒い服の男の人がこちらに向かって来た。

「姫様ァ!私、ちゃんと先生出来てましたか!?生徒に嫌われたりしてないですか!?」

「ディアカルマ先生。痛い。痛いです…どうしたんですか。」

「……おっと、私としたことが……。

いや、先程怒鳴り声を上げてしまいましたので……。ベニトアイトの王子やエルバアイトさんに嫌われてないか……。」

「大丈夫だと思います。」

「そうですかね!?私嫌われたかと思って……姫様が言うなら安心ですね!!それでは失礼しました!!」

……忙しい人だな。と思いながら本を取り出し、黙々と読んでいく。




ディアカルマ先生はやっぱりおバカ

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