No.11 悪役王女と毒舌妖精

最近肌寒くなってきた。秋から冬になる時期なので、制服も皆段々と冬服に変わっている。

早く教室に戻らなければ、とテクテクと廊下を歩いていると、何度目だ。この男に出くわすのは。

「……あぁ。フィファナテ。だね。」

「えぇベリル。ですわね。」

実は休み時間私が出掛ける度ベリルに会うのだ。はたして偶然と言えるだろうか。

「……フィア。あいつストーカーなの。退治するの?」

メイド服を来たフロウが私に小声で話しかけてくる。大丈夫、と小声で返した。

「フィファナテ。そういえば君、創造神オベリスク愛の女神フェリスシアナ。それに他の精霊王の加護をもっているんだって?」

「えっ?ええ、はい。まぁ……。」

「あぁそうだ!フィファナテ、ここで何か作ってくれないか?そう、僕の好きな鉱石…ガーネットのネックレスを2つ。」

ガーネットのネックレスを2つ……。まぁ大丈夫だろう。

「分かりました。」

そう言うと私はトリリアントカットされた綺麗なガーネットのネックレス2つを作り出し、ベリルに渡す。

「どうでしょうか。」

「……あ、うん。凄く綺麗だね。ありがとう。……じゃあフィファナテ。またね。」

「え?うん。……あ、ええ。はい。」






+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+


放課後、私は自室に戻り暫く考え込んでいた。

「……ねぇフロウ。どう思う??ベリルの事。」

「ベリル?あぁあのストーカーなの?あいつ気持ち悪いの。ピーしてピーしてピーしてピーしてやりたいの。ピーしちゃ駄目なの?」

「やめてフロウ!怖いし物騒だし規制がかかるわ!」

「規制ってなんなの?フロウ知らないの。」

「あー、うん。その、ね。あの……こういうの的に……。」

「……よく分からないの。…まぁいいの。あのストーカーどうするの?」

「どうもしないわよ。取り敢えず要注意人物としてみとかないとね……。」

「ちょっ、お待ちくださいませ……あっ」

侍女の声と共に部屋の扉が開く。

そこに立っていたのは……。

「何しに来たの!?……あ、何しに来たんですか!」

「あー、まぁ……そうそう。ちょっと早いんだけど、冬休みに俺の誕生日パーティ?をやるらしいんだ。良かったらお前も来いよ!」

なんて何故か少し嬉しそうに招待状を渡してくるレイに、戸惑う私。


「……突然来て挨拶もしないの?常識がまるでなっていないの。このクソガキ。フィアが困っているのが見えないの?常識学んでから出直して来いなの。」


「……ふ、フロウさん?えっと……もうその辺に……」

「それに、侍女が止めているのに女性の部屋に勝手に入ってくるなんて笑止千万なの。本当に王族なの?まだまだケツの青いクソガー……むぐぐ」

「フロウ。もうやめたげて!ほら、謝りなさい!」

「嫌なの。フィアは嫌じゃないの?こういう事は失礼に値する事ってメリアに教わったの。フロウもマナー位はメリアに教わったの。フロウでも分かるのにこのガキ分かってないの。頭大丈夫なの?」

「……」

ほら!ほら!ちょっ、ちょっと目が潤んでる!まだ小学1年生なんだよ!?

「……おっ、俺。もっ、戻るな……。じゃ……」

あぁ、傷付いただろうに……可哀想……。

「……フロウ。流石に言い過ぎ!!!あれでも王族よ?メリアからマナーを教わったのなら、それ相応の言葉使いを身に付けなさい。」

「……分かったの。ごめんなさい、なの……でも、あのクソガキも悪いのー……あてっ!」

「クソガキ言わない!!」

拗ねた様な顔をしクソガキと言うフロウに軽くチョップをする。

その日は1日メリアと過ごさせた。

……フロウは意外と毒舌だった。

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