No.10 悪役王女と新たな攻略対象者

「フィア、どうしたの?元気がなさそうなの。」

「フロウ……。大丈夫よ。ちょっと貴方の主に殺意湧いてただけ。」

「オベリスク様に?どうしてなの?……あ、わかったの!“ぜんせ”の事なの?オベリスク様にフィアのとこいく前に凄い教えられたの!

“しなりお”が狂ったんでしょ?“しなりお”の事ならほぼ全部知って……んぐぐ」

「………………。フロウ、人前でそれ絶対に言わないでね。」

「了解なの!」

「何話してんだ?」

「うぉあっ!?!?……あ、レイ……。」

振り返るとくすくすと笑うレイがいる。

「……ふふっ……王女の驚き方じゃねえな……ふふ」

「……」

パッシャーン

「うおっ!?なにすんだよお前!!水浸しじゃねぇか!」

「きゃー!レイゼルア殿下!どうしたのですか!?私のハンカチをお使いくださいまし!

「いや私のハンカチを……!「いや私のを!」「いやちょっ……まっ……。」

人を馬鹿にするからですよ!女子にでも絡まれときなさい!



+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+


レイがお嬢様方に絡まれている隙に、私は中庭に避難し、ベンチに腰を下ろす。

突然ふとフロウって人間サイズというか人間になれるのかな?と考えた。1度聞いてみよう。

「……フロウ。」

「なぁに?なの!」

「人間になれる?」

「お易い御用なの。」

「なってみて!!」

ポンッ

そう音がすると、フロウの姿は私と同い年位のサイズの子になった。

小さいピンクのツインテールは腰位まで伸び、水晶を埋め込んだような目はくりくりで、まつ毛が長い。そして何故かセンテュリオ王家のメイド服を着ている。

「えっ……かわ……?かわ……」

「どうなの?似合ってる?」

「……フロウ、私の侍女やって頂戴?」

「めんどくさいの……。」

「私の話し相手みたいなので良いから!ね?」

「……メリアが許さなそうなの。」

「メリアには私が言っとくから!ね!?」

「……わかったのフィア。」

「私の事は姫様って言うのよ!ね!」

「姫様……。」

少しだけ嫌そうな顔をするフロウに、私はくすくすと笑う。

その後も色々と話をし、教室へ帰ろうとした時。事件は起こる。


「……ねぇ君、君ってさぁ。センテュリオのお姫様?」

「そ、そうですが……。」

……深緑の髪。黒縁メガネ。メガネから覗くサファイアの瞳。……まさか。

「やっぱり!?僕はベリル。ベリル・エルバアイト。よろしく!お姫様!」

ベリル……ベリル……ベリル!!!!!!!

出たよヤンデレ野郎!!1番攻略難しいって言われてたやつ!!!!

「フィファナテ・ディア・センテュリオです。よろしくお願いしますねベリル様。」

「……うん。よろしく。フィファナテ。僕の事もベリルって呼んでよ。」

あれ?なんかベリルが私を見る目が変わったような……??まぁ良いか。

「それでは。授業に遅刻しますので……。」

「……うん。じゃあね。フィファナテ。」



私が去る時、一瞬ベリルがニヤリと笑い、ブツブツと何かを何かを呟くのが見えた。

何を言っていたんだろう……?

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