No.9 悪役王女と謎の少女


「…最悪……。最悪よ本当に。」

今日は日曜日で、授業がない日。私は自室のベッドでぐったりとしていた。

「ええ、姫様のせいで何故だか私まで変な視線を感じる様になってきました。」

「…せいでって何よせいでって……。というか、メリアは驚かないのね。私が神とか精霊王の加護持ちだったって事。」

「最初聞いた時は驚きましたとも。でも、姫様は姫様で、加護をもっていた所で魔力があまりないではありませんか。」

「失礼ね!とりあえず基礎はしっかり覚えたから魔力も向上してくるわよ!多分!」

そう言うと私は、創造神オベリスクの力でガラスのコップを作り、その中に水の精霊王シヴェリアの加護の力でその中に氷と水を入れる。

「はい!どう?凄いでしょ!」

「そうですね。本当にちゃんと飲めるんですか?」

「飲めるわよ!」

「……私が死んだら、ちゃんとしたお墓に入れて欲しいです。」

「物騒な事言わないで!!死なないわよ!」

ゴク、とメリアが私が出した水を飲む。

「……美味しいです。」

「でしょ、ただの水なのにね!」

「そうですね、不思議です」





「……姫様、そういえば。学園内の時計塔にはもう行かれましたか?」

「時計塔?何それ!」

「初等部の校舎右奥にある白銀の時計塔です。中がとても綺麗で素敵なんです。今の時期は時計塔が解放されているので誰でも行けるそうです。良ければ行ってみては?」


「な、なにそれ……行ってみたい!行ってくるわ!」

「あ、ちょ、姫様!お1人で行かれては危険です!」

「じゃあメリア付いてきて。」

「……はいはい。」





+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+



「綺麗……幻想的ね。」

「そうですね。」

少し喋るだけでも声が響く。

コツコツと綺麗な白銀の階段を上がって行く。

1番上の階まで来ると、大きな時計の真裏になる。じっくりと堪能したので今日はもう帰ろうか。とメリアに言おうとした時。

いかにも隠し扉がありそうな少し凹んでいる場所を発見した。


私はメリアの目を盗みその場所に行き、凹んでいる部分を押した。すると……

ビンゴだ。

隠し部屋があった。

隠し部屋の中は大きめの光る石が中心にあり、その他なにもない部屋だった。

私は光る石の傍に引き付けられる様に行き、

光る石に触れる。

私が触れた瞬間、光る石はより光りを増し、私は目を塞ぐ。やがてフラッシュが収まると、私は目を開けた。

……。

………………なんだこの子

エルフ耳に赤みがかった銀の髪に右赤、左黄色のオッドアイ。額に何かの紋章。大きな天使の様な羽。白いレースの着いたワンピース。小さい身長。レースの髪飾り。


「やぁ御機嫌如何かな。小娘。」

「……誰ですか貴方。」

「儂だよ。創造神オベリスク。」

何を言っているんだこの女の子は。いやだっておじいちゃんじゃないじゃない。創造神様っておじいちゃんのイメージない?

「……お嬢さんは何処から来たの?駄目じゃない、こんな所に来たら……」

「だから!オベリスクじゃ!ほら!創造神!お前に加護与えたやつ!因みにお前の事はなんでも知っているぞ小娘。いや、四宮美鈴!」

四宮美鈴って、私の前世の名前……。ただの子供が知る訳がない。やっぱり創造神……?

「……なんでそんな幼女なんですか。」

「儂の本来の姿じゃ!可愛かろう??拝め拝め!」

「というか、私、まったりと!最低限しか目立たず、平凡に暮らしたいんですけど!!」

「軽くスルーしよったな。んー、知らん!儂はただ加護を与えただけじゃ!……まぁフェリスシアナが加護を与えるのは儂も驚いたわ」

「え、全部創造神あんたの仕業じゃなかったの!?」

「違うな。全部愛の女神あの変態の勝手な事じゃ。」

「はぁあ!?!?でも、愛の女神サマはヒロインに加護を与える筈じゃないの!?」

「……あぁ。あやつには……。


闇の精霊王の加護Ⅰが与えられたぞ☆」


「……はい?」


「いやぁ、ヴェルメイ闇の精霊王がいきなりあやつに加護を与えたいと言って来ての?流石にあやつの加護を与えるのは危険すぎるもんで少しだけじゃから許した!」

「いやいやいや……。駄目でしょ!?ちゃんとシナリオ通りにやんなきゃ!あんたそれでも神様!?」

闇の精霊王ヴェルメイ……そう。ゲームで私が加護を与えられていた。

なのに何故ヒロインに……。


「姫様ー!?何処ですか!?」

「ん、タイムリミットじゃな。お前は儂の愛し子だ。心配じゃから儂の作った妖精をお前に授ける。色々と手助けしてくれるぞ。じゃ、達者でな。またここに来ると儂に会えて他の教会だと他の神にも会えるから来るんじゃぞ!」

シュン、と光る石の中に消えていったオベリスクは、1人の小さなピンク色の髪をツインテールにしている白色の瞳をした妖精を置いていった。腕にオベリスクの額にあった紋章がついている。


「えっと、私はフィファナテ。よろしくね?貴方、名前は?」

「名前はないの。私はオベリスク様に作られた春の妖精なの。よろしくなのフィファナテ。」

「長いからフィアで良いわ。

んー、じゃあ私が付けてあげる!名前!えっと春の妖精よね……?んー、フロウとかはどうかしら!」

「フロウ……いい名前なの。ありがとうなのフィア。これで契約成立なの。」

そう言うとフロウは私にぴっとりとくっ付くき、私は戸惑いながらも外へ出た。





この後凄くメリアに叱られ、お菓子が少しの間抜きになってしまった。


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