No.8 悪役王女と審査の結果


「私のクラスって何処だっけ……」

「もうすぐ掲示板に貼られると思います。……はい。出来ました。行ってらっしゃいませ。」

「ありがとうメリア。じゃ、行ってきまーす!」ポニーテールをゆらゆらしながら、私は初等部の校舎へ向かう。

お気楽で居られるのも、残り1時間。



 校舎内に入ると、中はざわざわと騒がしく、大半の人達は掲示板に集まっている。

 私も掲示板へと小走りで行き、クラス表を見てみる。このワクワク感っていつぶりだろうか。

 あまり見えないので少し前の方に行かしてもらい、ちらりと見てみる。

 ーすると。


 レイゼルア・ベニトアイト

 じーっとその下を見てみる。

 フィファナテ・ディア・センテュリオ


 だよね。やっぱりね!こういう展開って良くあるもん!!!当たり前だよ!!

 ……それにしても、学園に入り身分が対等として扱われるとしても、大国のベニトアイトとセンテュリオの王族を同じ組にしていいのか。


 カララ、と教室の扉を開けると、もう沢山の人が集まっていた。

 私は静かに自分の席を見つけ、すとんと座る。

 読書兼考える事をする用の本を取り出す。

 さて。どうしようか。

 きっとレイゼルアは私に絡んでくるよな。

 多分だけど。

「なぁ。」

ほら来たー!!

「なんでしょうか。レイゼルア殿下。」

「お前、フィファナテだよな。」

「そうですが。」

「フィアって呼んで良いか?ほら。フィファナテって言いにくいし。俺の事もレイって呼べよ。」

「……愛称で呼び合うのは、親しい友人だけと決めているのですが。」

「いいだろ?もう俺ら友人だろ。あと、堅苦しい言葉も無し!フレンドリーに行こうぜ!」

「……はぁ。分かりました。分かった。」

 やばい。元推しの顔ドアップはきつい。

 つい頬が緩む……。

 ぱぁ、っとレイの顔が明るくなる。

「よろしくな!フィア!」

「よろしく。」

 なんて事だ。本当に、関わりたく無いのだけど……。

「なぁフィア。もう審査の時間だぞ。さ、会場まで行こうぜ!!」

「あっちょっ、待ってレイ!」



 +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

 遂に会場に着いた。

 会場内は1年生が沢山いて、騒がしかった。



「ー次、フィファナテ・ディア・センテュリオ殿下。此方へ。」

「はい。」

「それでは、此方の水晶に手をかざし、先程伝えた言葉を口にして下さい。

 水晶が反応しなければ、加護は与えられない、と言うことです。水晶が淡く光り、文字が出てくれば、どのような精霊にどのような加護を与えられるかが分かります。それではどうぞ。」

 私は水晶に手をかざす。

「数多の精霊達よ。我に寵愛を授けたまえ。

 神達よ。我に祝福を与えたまえ。

 真の正義は我と共に。」

いかにも厨二チックな言葉を発すると、凄く眩しく水晶が光る。光りが収まると、水晶の中に文字がズラーっと並ぶ。

 なになに……?


 ー創造神オベリスクの加護 V

 愛の女神フェリスシアナの加護 V

 光の精霊王ユレイゼの加護 V

 炎の精霊王モレアナの加護 IV

 水の精霊王シヴェリアの加護 IV

 風の精霊王スフェロンの加護 IV

 大地の精霊王アスメリスの加護III


 え?

 ゴシゴシ

 ん?


「な、な、なんなのよこれー!?!?!?」


「嘘だろ……」

「創造神オベリスクの加護持ちなんて……。」

「まず2人の神から祝福を受けるって……。」

「……加護を受けている精霊達は皆精霊王ではないか……!」

「前代未聞だ!」

「……フィファナテ様が?」

「創造神オベリスク様や他の神が加護を授けた人なんて誰一人としていないのだぞ!?」

「……有り得ない。」

「本当に人間か?」

「まるで化け物ね。」


なんて声が次々と聞こえる。

どういうことだ。

愛の女神フェリスシアナはヒロインに加護を与える筈では?

私は悪役王女で、闇の精霊から加護が与えられる筈で……。

どういうことよ。これじゃあのんびりスローライフが送れないじゃない……。

「……つ、次……どうぞ。」

先生が我に帰り、次の人の名前を呼ぶ。


視線が痛い……。私も良く分からないわよ……。

「お、おいフィア……。お前……」

やっぱり、レイにも嫌われたよね……。

「すっげーな!?オベリスクとかから加護貰ってんだろ!?」

……馬鹿で良かった。事の重大さを分かっていない。

まぁ私はどのような加護が与えられたとて、魔法の授業や、緊急事態以外では使わない事を決めている。

それにしても、奇妙な目で見られるの嫌だな……。

下手すれば世界を滅ぼせる程の力だが、私の魔力では自由に扱うのに時間がかかる。




後日、先生に私の魔力数値を見てもらい、

この様子なら心配はいらないけどくれぐれも問題は起こさない様にしてくださいと「問題は」を強調して言われた。

なんか魔力のお陰で問題ないと言われたとき一瞬悲しくなった。



+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

ネタバレすみません

次回はリンヴェル視点で話を書いて行こうと思うので少し次回は話が短いです。

ご了承ください(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”

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