09.木野ミナト×大井悠 雨

リハビリがてら、短めですが。

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雨が降っている。

しとしと、ではなく。ざあざあ、でもなく。

雨が降っている。


窓に落ちる雨粒に、少しの心地良さを覚えながら。

子守唄のようにしながら微睡む。


現実と夢の、曖昧な境目を滑り落ちながら、意識を手放す。


子供の頃だったり、大人になってからだったり。


ふわふわ、とした感覚に包まれたまま。

”あの人”の声を、何故か思い出す。


太陽のように、明るくて、優しくて、日向のような人。


いつも明るくて、朗らかな人。

不安な時は、そっと傍にいてくれる、優しい人。

意地っ張りな私が、唯一甘えられる、日向のような人。


水の中にいる私に、差し込んだ陽の光は。

そのまま私を掬い上げ。



寝惚けた私の顔を照らす光が、私の意識を呼び覚ます。

窓の向こうは、雲の間から、優しい光で照らされていて。


窓を開ければ、あの人のような、やさしいお日様の匂いがした。

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