第3話 ユノアザ
まず、道具屋を見つけると、金の固まりを売り払い、セヴィオディンでの通貨を手に入れた。
セヴィオディンでは、紙幣は流通していないようなので、主に金貨、銀貨、銅貨がこの世界での共通の通貨になる。これは別の地方に行っても変わることはない。
かさばることこの上ないが、紙への印刷技術を持ち合わせていないのだろう。そこら辺は我慢するしかない。
俺は次に服屋で服と靴を購入した。ルーシティ地方で一般的な服装を選んでもらった。これで町を歩いていても白い目で見られることは、恐らくないだろう。
次に武器屋で簡素なナイフを一本購入した。別に戦闘に武器は必要ないし、どうせならもっとちゃんとした武器を持った方がいい。このナイフはどちらかというと戦闘用に使用するよりは、生活するために使用するつもりでいた。
思ったよりも資金が余ったのはよかった。次に俺はお菓子屋に入り、残りの資金全てをルーシティ地方の名物お菓子ユノアザに変えた。
ユノアザは丸い生地を揚げて、砂糖をまぶしたお菓子で、現世で言うとドーナッツのようなものだ。ただし、真ん中に穴は開いていないが。
残りの資金で、二袋分のユノアザが購入できた。
俺はユノアザを頬張りながら、店を出るとそのまま町を出ることにした。これからの計画もぼんやりだが、頭にはある。
正攻法でやっても再転生されることは目に見えている。変化球で魔王を倒すか、再転生されない方法を探さなくてはならないのだ。
俺は町を出ると草原を横切り、森へと向かった。
森の奥には、丘と言っても差し支えないような小さな山があり、そこにある洞窟は、確かゴブリンやオークの巣になっていたはずだ。とりあえず、そこをしばらくの根城にするつもりでいた。
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