第2話 シャイトン
しばらく歩いていると、町が見えてきた。あれがシャイトンの町のはずだ。草原を切り裂くように道が走り、町まで伸びている。
道ばたを見ると、いくつか石が道から退けてある。馬車などのために整備しているのだろうか。
俺は足下を見渡しながら少し歩いてみたが、一番小さい石でも抱えるほどの大きさがあった。……さすがにこの大きさを町まで運んでいくのはダルい。
「うーん、手加減が難しいんだよなぉ」
俺は抱えるほどの大きさの石に向けて拳を振り下ろした。石はもう岩と呼んでもいいぐらいかもしれないが。石は派手な音を立てて、粉々に砕け散ってしまった。
……。俺は再び手頃な石とも岩とも言えそうな石を見つけると、デコピンの要領で石に向けて指を弾く。ボロボロと音を立てて、今回は手頃な大きさに石が分割された。
俺はその破片から拳大ほどの大きさの石を手に取ると、両手で石を包み込む。
口の中でモゴモゴと呪文を唱えると、手の中にあった石が光り始めた。石は眩しいほどに光りを放つと、ゆっくりと光は収まった。
「おっし、こんなもんで大丈夫だろう」
俺の手の中にあった石は、光が収まっても黄金に光り輝いている。
それまでは、野良モンスターを倒したり、モンスターに襲われている人間を助けて少しの賃金をもらったりと苦労していた。
何にでもとっかかりには苦労を伴うものだ。それが今や、一瞬で資金が作れる。
俺は拳大の金の固まりを手に、町へと足を踏み入れた。
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