第7話「桃太郎鬼と鬼退治(1)」

 「チビも行く」


何を言ってるのかな、このおチビさんは?


桃太郎達の異変に気付いたチビがそそくさと旅の支度をを始める。

チビはこの数ヶ月、日常の買い物に紛れてバックだのリュックなどをねだり日保ひもちちする食べ物などを貯め込んでいた。


「チビも行く!」


「何を言ってるんだチビ!ダメにさ決まってるだろ!!」

桃太郎は一蹴いっしゅうする。

「行く行く行く行く行く!!」

「ダーーメーーーーダ!!」

食い下がるチビに桃太郎は言う。

いかチビ、オレ達が行くのは鬼退治だ鬼退治」

桃太郎はチビのオデコを人差し指でグリグリしながらチビに言い聞かせる。


「チビ鬼、退治する!」


酷い話にって来た。

チビの奴は本気で鬼退治に行くつもりだ。

「マアマアおチビさん、落ち着いて下さいペ

ン」

きじがチビをなだめる。


「黙れペンギン!」


チビの攻撃がペンギンの心をえぐる。

「ち、ちょと待って下さい、わたくしきじですペン」

「黙れ!ペンギン!おまえペンギンだ!」

「ちが、違いますペン」

「違わない、きじはペンとか言わない!」

……それを言ったらきじはそもそも話さない。

「チビちゃん、きじもチビちゃんを心配して」

「いぬーーー取って来ーーーーーい!」

チビはおもっきりボールを投げる。

「やっべ、ボールだーーーー!!」

犬は全力でボールに夢中だ。

桃太郎は思う「何やってんだお前ら」と。


「そうでごザルおちび殿、皆の言う通りでごザル!」


「だからオマエは鬼だから、鬼退治なんかダメに決まってる!」

キャラ付けの為、語尾を変えて来た猿を華麗にスルーしつつ桃太郎は言った。

「ダメ違う、人間、人間といくさする、ちび、鬼だけど鬼退治する!」

チビはこの理屈を用意していた。

桃太郎は静かに言う。


「チビ、オレはチビが心配だ、もう少し大きく成ってからにしてくれ…、……、」


桃太郎の顔がドンドン鬱血うっけつして行く、チビが桃太郎の首にガッツリとチョークスリーパーホールドをめている。


「ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、チビ、オレが悪かった、連れていく、連れていくから、あ、イヤ、一緒に来て下さい!!」


桃太郎はすっかり忘れていた。

(そうだ、コイツあの温羅うらむすめだった)


桃太郎は暴力に屈して渋々しぶしぶチビを鬼退治に連れて行く事にしましたとさ。



この物語はフィクションです実在の桃太郎、鬼、チョークスリーパーホールドの威力とは一切関係ありません。

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