第4話「桃太郎鬼とボストンテリア」

 吉備津彦きびつひこ神社近くの公園

「いぬーー!取って来ーーーい!」

ねえ、ボストンテリアって知ってる?

アメリカ原産のワンちゃん、とっても陽気なワンちゃんだよ。

「そ、ボクの事さ」

「いぬー!何してるー!ボール、ボール取って来てーー!」

「分かってる分かってるって!、ボクに任せれば大丈夫だよ、チビちゃん!」

何してるのかって?、決まってるでしょ

朝廷ちょうていめい温羅うらの娘が人をおそわないように監視してるのさ。

「ちくしょう!ボールがちょっときっくてめないめよ。」

そんな風に見えないって?

(それはそれ相手を油断させて、あ、ボール鼻で押すとチョー楽しいコレヤバい!!)

「はあ楽しかった…あ、イヤこれ準備運動だから」

「いぬー、ボール」

「あ、ハイハイ、今持っていくよ」

でもボクは思ってしまう、この子は何を考えてるのだろう。

「ねえチビちゃん、君はどうして桃太郎と一緒に居るの?親のかたきだよ」

チビちゃんはボクの目を見つめ首をかしげる。

「桃太郎食べ物くれる、とーちゃんはくれない、ちび勝手に食べるだけ」

どうやら鬼と言う生き物はあまり子育てをしないらしい。

桃太郎さんいわく鬼は狩りをして生きる生き物で子育ても、母親が乳児期のみおこなあとは食べ物を奪い合う事で強い鬼とるらしい。

「つまり人間にとっての普通の子育ては、チビちゃんにとって天国みたいなもんか」

「ちび天国!」

これは鬼としてはもう生きれないかもね…

(もしかして桃太郎さんは)

「チビちゃんは今、幸せかい?」

チビちゃんは少し難しい顔をして言った。

「お腹減ったうち帰る」

そう言ったチビちゃんにボクは言う

「お願いもう一回ボール投げて!!」

チビちゃんは少し嫌そうな顔をしたけど、ボクの為にボールを投げてくれた。

(きっとチビちゃんは大丈夫だ)


この物語はフィクションです実在の鬼、ボストンテリアとは一切関係ありません。

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