第50話 慶一道の見合い。
夕方5時、陽和に慶一道は電話した。
「ゴメンな会えなくて、仕事山積みで会社抜けれない﹏。」
「いいよ。
無理しないでね。頭を打ってるんだ
か ら、傷がパッカーンとひらかない ように、気をつけてよ。」
「オウッ‼名誉の負傷ってやつだ。」
「うん、クスッ」
「部長はどうしてる?」
「え、会社行ってるけど会わなかった の?」
「え、あ、は?いゃ俺、怪我してっ
からあんましウロウロ出来ないか
ら会って無くて、」
「ん?ちゃんと行ってると思うよ。」
「だな‼ 部長だから、忙しいもんな、
ハ ハ」
しばらく話して電話を切ったけど
辞めたことを部長は
家族に話ししていないらしい。
陽和が気付く前に連れ戻さねば。
梅、桃、桜の花の季節を抜け
暖かい春本番。
春の代表の花、
チューリップや菜の花、
春の花が咲き乱れている。
オーキッドも新入社員を大幅に
受け入れ活気づいていた。
陽和とはキス以上の進展は無いが
それなりに上手くやっていた。
そして五月がやって来た。
その日慶一道は実家に呼ばれていた。
かしこまった、入口を慶一道が運転するレクサ〇が駆け抜けていく。
日本庭園の前に駐車すると階段を上がり祖父の部屋へと足をすすめる。
そこにはにこやかな祖母と祖父が
仲睦ましく慶一道を迎えいれた。
庭には、藤棚を這う紫色の花や
サツキの放つ独特の香りが
色をそえていた。
「慶一道さん、元気してた?」
柔らかな祖母の声は
昔から慶一道に安らぎを与えていたが、今も変わらない。
「はい、お祖母様、お爺様、」
「今日はお天気で良かったわね。
何処にいらっしゃるの?」
「エッ‼ 何の事ですか?
俺はここに来るように言われて
来ただけですけど?」
2人はキョトンとしていた。
そう言えば離の座敷が慌ただしい。
お祖母様の入れたお茶を飲みながら
今日なんかあるんですか?
なんか、慌しいみたいですが?」
すると又2人は顔を合わせて、
は?みたいな顔をみせる。
「な、何おかしな事を言うんだ?」
「え?あ!は?」
「今日はあなたのお見合いでしょう。
昨日からバタバタ皆忙しくしているわよ。」
「えーえーえっ‼ 俺? 見合い?」
「あらあら、聞いてなかったの?
慶志郎が前から準備していたみたい
よ。
慶志郎が4人選んで時間と部屋を
換えてお見合いするって言ってて、
私達も楽しみにしているの‼
写真見たけど、どなたも素敵な人よ。」
「聞いてなかったのか?」
「だって、お爺様の悪友のきまりで
30まで遊んだら、先祖が嫁をつれてくる、って、」
アハハハハハハハハハハハノ ヽノ ヽノ ヽ/ \/ \/ \
アハア八アッ八ッノヽ~
「何を言っている。
30迄に先祖が嫁を連れてくる、の
間違いじゃーそれまでは遊んで
女の善し悪しを学べといったんじゃ、
現に武蔵野の所も、西之坊の所も
ええ嫁が来とるじゃないか、
お前だけに何で来んかと
婆さんと話しとったとこじゃぁ。
見合いの話を聞いた時は
ホレ家にも来たーと思ったぞ、ハハハハ」
「え━━━じゃぁ本当にお見合い?」
「気立てが良くて、いい子ぞろいじゃよく話をして決めなさい。」
「エッ、!そ、そんなに言われても・・・。」
〃今日は陽和と久しぶりのデートだし
遅れたらヤバイ;꒪ꈊ꒪;〃
「お爺様、まとめてやりましょう
俺は忙しいんですよ。1人ずつやって たら 身が持ちませんよ。」
爺さんは 武蔵野爺と西之坊ジジイに
先越され多少焦っているようだった。
早く曾孫の顔が見たくて
ウズウズしているのは
何となくわかっている。
〃おーいおーいと〃秘書を呼びつけ話ていた。
山岡の父親が祖父の秘書だ。
親子揃って、金太郎飴のように
同じ仕草同じ顔、同じ振る舞い
笑ってしまう。
8畳ある座敷に彼女達四人と
俺が向かいあつて、
お見合いが始まった。
1人ずつ、挨拶をかわす。
綾小路 有沙です。
赤い着物を来て髪を今風に結い上げてニコリと笑う。可愛い系、
大和田友梨奈です。
白地に紫の藤の柄、着物はシックだが
襟の赤が目立って
バランスがとれている。
綺麗なお姉さん系
宮地元 香乃加です。
1番年下22歳、やはりハツラツとして
若々しい。どっちかと言えば可愛い系
浦志野 櫻子です。
紫の着物に赤い牡丹、一番着物が
似合っている。
ほっぺたがもったり柔肌で男をそそる可愛いらしさがある。
四人も歳が近いせいか
楽しく過ごしている。
秘書の、山岡父が現れ
「今から慶一道様が一番気に入られ
た、御方を私と御屋敷まで、
お送り致します。
しかしご返事は1ヶ月後と言うこと
でご了承くださいませ。」
「ええ、選べないよ。
・・・じゃあじやんけんで。」
4人はお淑やかに
〃ジャンケンぽん〃
結果俺は
浦志野 櫻子を送る事になった。
でも、レクサ〇8人乗りの車だから
全員乗れる。
山岡と全員送る事にした。
途中、昼食を料亭でとることにした。
暑くもなく寒くもない五月晴れ。
振袖姿の四人を連れ料亭へとむかう
イケメンは目立つ以上に注目された。
ワイワイ、賑やかに俺も若返る。
その料亭には、父親の誕生日の
予約を兼ねて
2人の姉妹が、食事に来ていた。
「おねーちゃん、高いけど決めよう。」
「そうだね。美味しいしね。湯葉
最高‼ パパ大好きなんだよ。」
「ホントなんですの!」
「ほんとだよ。付き合っている人は居 ない よ。まだ・・・ね。」
「じゃあ、ちゃんと選んでください
ね、 出来たら私。」
スーツ姿のスッキリとした男性が
振袖姿の美人を四人引き連れて
楽しそうに入って来た。
襖が開いていたので、フッと見えた、廊下を歩くイケメンの姿に、
凍り付いた。
しかも彼女は居ないと言っている。
確かにキスから先は何も無い女は
大人の男性から見たら彼女とは
呼べないものだろう。
すかさずLIN〇を開き
「もう、合わない。
さようなら。」
と送る。頭にきたからではない、
いや、それもない事は、無い
いずれはこうなる運命だった。
彼との縁は繋がりそうで繋がらない。
ただのホントの腐れ縁なのかもしれない。
慶一道はまだ気づいていないのか、
笑い声がきこえる。和気藹々で、
楽しそう。
何時も心の隅にあった。
「五月になったらお見合いをさせま
す。 そして結婚させます。
あなたには荷がおもい。
語学は?」
そう病院のフードコートで彼の父親
か ら言われた言葉、何より
〃 あなたには無理です。〃
つまり私では無理、
という事、母親も言っていた
慶一道の嫁はドーンと
構えられる女性じゃないと務まらない。
つまり、女遊びと、
副社長の浮気をドーンと
受け止める女性じゃないと
務まらないと言った。
今日はお見合いだったんか、
用事があるから夜しか会えない!
ごめんな。
そう言っていた。その用事がコレ!?
〃な﹏にがゴメンな‼だ。
鼻くそ投げたい気分。〃
急にご機嫌斜めどころが90°まで
怒る陽和を、陽菜は、
ビビりながら見ていた。
ヴヴヴ ヴヴヴ ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
「おねーちゃん携帯、携帯」
陽菜が湯葉を食べながら目で合図。」
慶一道の文字がうかぶ、
「フン〃」
次はLIN〇攻撃がはじまる。
当然無視‼無視‼
せっかく高い金出しているし、気を
取り直して食事する。
「あんな奴こっちからすててやるw
キショーメー‼」
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