第49話 退院その後

「ひょ﹏りぃ、誤解だょ﹏う。

誓ってなんにもしてない‼

いやゴメン。1年半前に1回だけ‼

ヤッた!」


「知らないっ﹏💢」

次の日から陽和は、見舞いに来なくなったが

脳神経外科にずーっと居座るイケメンの姿があった。

陽和が通ると〃陽和 〃陽和〃とインコのように鳴きながら付きまとっていた。


「大仏君。

あのインコどうにかしなさい。」

武蔵野先生は笑いながら陽和に言った。

スタッフに迷惑がかかるので、



ありきたりな 浮気ストップ標識をかかげ、


「次はないよ〃」


と言って許してあげた。

慶一道は陽和以外の見舞い客を断り残りの数日を陽和とすごした。

朝、陽和が見舞いに来て、昼休み慶一道と食事を取り夕方5時から8時までの面会時間を2人で過ごした。


穏やかな時間の流れを二人で感じていた。

穂花と蒼太がヒョッコリ現れ、慶一道に謝った。

穂花も一緒に頭をさげた。


「すまん、お前たちを引き離したのは申し訳ない。」

蒼太は慶一道が怪我した事を穂花に聞いたのだろう。


慶一道は、「俺も気がおかしくなっていたかもしれない。お前だけのせいじゃない。

俺もわるかった。」と蒼太の肩をたたきながら呟いた。


そして、蒼太は、妊娠報告をしていた。

まるで自分が、妊娠したかのような報告に笑った。


陽和は知っていたから驚かなかったが



慶一道はビックリして、

少し羨ましそうにしていた。

「チャラ男卒業だな!お前も俺も。」


「ああ、親父になるからいっまでも

遊んで居られないさ。」


蒼太は穂花のお腹を撫でながらニコニコしていた。

穂花も

「好きな人の子供が少しづつ自分の中 で、大きく なって行くのは嬉しい。


最近武蔵野父も検診に付いて来るの

勿論義母さんもいっしょよ。」

とケラケラ笑う。



そして慶一道は抜糸を済ませた次の日退院していった。



1週間休んだ副社長室には薔薇の花が飾られていた。

第一秘書の真面目代表、山岡は、相変わらず真面目君、丸出しで安心した。


しかし、大仏部長の姿が見えない。

休みか?そんな調子だった。


「山岡、部長は休み?」

山岡は不審な顔をして慶一道を見て言った。


「退職されましたけど、ご存知無いのですか?」


慶一道は驚いて・・・、

「は?、退職?何故?」

「さぁ、急な事で、みんな驚いてます よ。」


「〃いつ、やめたんだ〃」

「1週間前に・・・」


「1週間・・・・・・前?」


慶一道は社長である、父親慶志郎に電話した。

「ああ、彼女は家庭の事情で辞めた

よ。」


「会長に了解とりましたか?

会長が連れて来たんでしょう。

勝手な事しないでくださいよ。」


「・・・・・・ああ、会長も了解済みだ。」

プチッ、プープープー


父親は直ぐ電話を切った。

「まさか・・・」


陽和の母親、大仏恋子に電話してみる。

繋がらない。

もう仕事を見つけたのだろうか?


入院中に部長もいなく仕事は山積みだった。

部長が如何に仕事をしやすく動いていてくれたのかが解る。

山岡もそれは実感していたが、文句も言わず、残業を手伝ってくれている。



「絶対、連れ戻す。彼女は必要な人材 だ‼」

執念で仕事を片付けて行った。



恋子は陽和にバレ無いように朝からハロワ通いをしていた。

職歴にオーキッドの名前が乗ると、どこも敬遠された。

そんな偉い人がなんで?と言われ

何社も回るが敬遠された。

部長職にあった頃は考えられない屈辱


45歳の恋子にとって正社員は無理な話かもしれない。

「専業主婦になるかなぁ〜

パパに養ってもらうか‼ 」

しかし、掃除❌洗濯❌料理❌

苦手も苦手、家にいるのも苦手

こんな私が専業主婦?、美代が聞いたら、大笑いだワ。」


恋子はカフェに入り、タウン〇ークを広げ珈琲をのむ。

ふと窓の外に目をやれば、営業マンらしき人物が何人も行き交っている。


「あー、私もあんなふうに歩いていたな。」

忙しかったから手間暇に飲む珈琲もあ んなに、美味しかったのかな?

もう一度あの珈琲を飲んでみたい。

社について部長の椅子で食べる食事

もかき込む事もあったけど味がわか

らないなんて言いながら、美味しか

ったな。


「あーあ、1年くらい休みたいと思っ

ていた けど、私には地獄だワ。」

そんなひと月はあっとゆう間に

過ぎて



暖かい日が増えた3月終わり、桜の開花も予想される今日、ふと時間の余裕を実感し不安になる恋子だった。













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