第41話 おみくじ。
神様への新年のご挨拶が終わると
神社の境内にある
お炊き上げの所まで歩く。
モウモウと上がるオレンジ色の火は
一年風邪ひかないようにと
背中から前、全身を温めてくれる。
慶一道も陽和の真似をする。
慶一道が又いつかしたように
腕をクイクイしてくる。
この動作は覚えている
手を繋いだら彼は
「いいの?」
と、聞いて来た、その時は、
慶一道の事を好きだったのだろう。
うんって答えたのを覚えている。
シカトしていたら又クイクイ
仕方ないから
ウールのコートの腕をつかんだ。
「チェッ、」
そんな声が聞こえた。
タコ焼きを買って、ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"
慶一道も一緒に食べた。
「つーぎ、イカ焼き」ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"
1本を半分こして食べた
口の周りにソースがヤバイ。
カブリと開いた慶一道の大きな口は、バクパクとイカの下足を
引き込んでいった。
陽和は半分になった下足の袋をめくり、かぶり付いたまま、
ポカーン
その様子に目をむいた。
若い男性の食べる勢いに圧倒される。
前もこんな事があった。
あれは・・・あれは
思い出そうとするとそれを阻むようにズキズキと痛みがはしる。
暫くすると嘘のように痛みがとまる。
なんか慶一道の口元を見ていたら
ドキドキしてきた。
何人とキスしたのかな?
とか、慶一道の過去に思いを寄せる。
あのパーアニーホテルでの
ジオンの顔は
しっかり覚えているのに慶一道の顔がわからない。
神社には家族連れや、
カップル沢山のひとがいる。
その中で私達はどんなふうに
見られているのだろう。
途中、御籤を引いて見る。
神社の周りの榊の木は
どれもおみくじでしなっていた、
陽和も開いてみると
小さな恵比寿様が御籤の折り畳んだ
中から出てきた。
「わっ‼ 恵比寿様。」
陽和の声に慶一道も「おっ、スゲー」
自分の お御籤 を開いてつぶやいた。
「弁財天」
小さな小指先位の弁天様は
金色に輝いていた。
「大吉」慶一道はにっこりとわらい弁 財天を 財布にしまった。
「陽和は?何?・・」
慶一道が顔を寄せ、御籤を覗いてくる。
「アレ大凶・・ププ━ッッ!!!
さすが。」
と意味不明な笑いをみせる。
「くっそォォォォォォ大吉が出るまで
ひいてやるぅ━━━💢
引く度、慶一道が読み上げ木に御籤をむすんでいく。
小吉 吉 区 中吉の繰り返し
意地と根性で9回目にやっとキタァ
━━━━!!!
すると横から
「9回目ってのが引っかからない
か?」
陽和も思っていた事だが
言わなくていい事を
ヘラヘラしながら言いやがる。
〃こいつは、意地悪だ、さすが御曹司 軍団の リーダだけある。〃
「怒んなよ。俺が大吉だったろ?
だから、一緒にいれば陽和も大吉、
な、な‼ お顔がプクーっとふくらん
でますけ ど‼`ω´#」
御機嫌を撮るように
慶一道は覗き込んで来る。
怒る気も失せて来た。
ご機嫌な慶一道を見ると、
御籤の内容なんて1ヶ月もすれば
忘れてしまう自分を思いだした。
「ま、そんなもんか?」
1人呟く、財布には10個の
七福神が入ってる。
アレ?最初の入れたら大吉は、
10回目にでたんだワ。
急に元気になって来た。
スッカリ気分回復した陽和はご機嫌
2人で腕を組んで歩いていると
着信音がなった。
慶一道はサブ画面を見て、
「あっ、ごめん仕事関係だ‼」
と言いながら陽和の腕をスルッと
ぬけて走っていった。
ぽつん。
賑やかな境内の中に
陽和が置いてけぼり。
慶一道を探すと境内の端の方で
ニコニコしてる。
「フン。ヤッパリ信用ならん。」
陽和は、遠くに見える慶一道を見つけた。
「正月、夜中に仕事関係?
まあ、そうっちゃそうかな。」
電話の相手は、
リ、ジオンあんなにモジモジしながら
話す相手は彼女しかいないぜ!。
陽和は待つのも馬鹿らしく
サッサっサーと
雅楽の音を聞きながら神社をでた。
ハアーっと吐く白い息、
今年こそアンニャロと、
縁が切れますようにと、
参道の下からパンパンと
柏手をたたいた。
縁結びの神様も困惑した事だろう。
着信音がなり俺はサブ画面で、
リ、ジオンからだと気づいた。
陽和にバレたら大変と思い、
かけだした。
最近よくかかってくるが、
年頭の挨拶だ軽く話すつもりが、
少し時間をとってしまった。
陽和の待つさっきの場所へと向うが
アレ⁉️アレ アレ居ない!!
バタバタバタと陽和を探すが、
彼女の姿はない。
「もしもし、どこに居る。」
「家」
「何で帰るんだ?待ってくれても良か っただ ろ?1人で歩くなんて
危ないだろ!」
「だって、知らない男の人が寄って
来るし
ナンパされるし大変だったの‼
あんたの長電話待てないのよ、!
来年の正月はリ、ジオンのいる、
シンガ ポール迄いけばー
チッ
めっちゃ迷惑‼」
じゃっ、もう連絡して くんな‼」
ガチギリ
ヴヴヴ ヴヴヴ ヴヴヴ ヴヴヴ
陽和の携帯はずっと震えていた。
「だから、もう、掛けてくんな。💢
あんたと、初詣には二度といかー
ん。」
ブチツ
ヴヴヴ ヴヴヴ ヴヴヴ ヴヴヴ ヴヴヴ
Wwwーせっかく仲直りしかけたのにな‼ 慶一道は気落ちしてしまった。
男とゆうのは、特にチャラい野郎は、何をしても最後には
許されると思い込んでしまう。
だからジオンと、一夜を共にした事もなんでも無いと思っていた。
大人の遊びだ、そう思っていた。
ジオンも遊びだと言ったはずだから・・・。
なーんて軽く考えていた。
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