第28話 2人の馴初め

陽和の母親、恋子はソファに

寄りかか悩んでいるようにみえた。

夫、倫太郎がピピとララを小脇に抱え恋子に渡す。

「コーヒ?野菜ジュース?フルーツジュース何飲む?」


「ん〜コーヒ、うんと濃いヤツ。」


「ハイハイ」


今日は倫太郎は代休だ。

日曜、祭日は基本出勤だからたまに

定時で帰った恋子とは、

久しぶりの時間。


倫太郎は恋子にコーヒを手渡すと、

「何悩んでるの?」と聞いてきた。


「副社長がね、

〈もう合コンはしない

から早くかえっていいよ。〉


って、いうのよ、変と思わない?

好きな女性でも出来たのかな?」


「彼も27、もう彼女の一人いるさ

居ない方がおかしいぞ」


「遊ぶ女の子は沢山いたのよ。

本気の子が、見つかったのかしら

どんなお嬢さんかしら

心配だわ!」


「まあまあまあ、

結婚する相手なら紹 介してくるさ、

姑根性出してイジメ そうだから、

合わせないんじゃない

か?」 ハァーハッハッハッハハッハッハッハ!!


「んんーっ‼もう。


普通に純粋に、副社長を好な子なら

いいの、でも、財産狙いの子なら困るのよ。

食い潰されると、社員も何万人もいるし社員の生活もあるでしょ。


何より今までの私の努力はなんだった のか ーとなるでしょっ。

あーー萎えるわ。」


「考え過ぎだろ‼」


「ただいまぁー‼」


「あら、おかえり早いわね。

貴方は彼氏まだ居ないの?」


エコバックから

デカいキャベツを取り出し

エビやイカを取り出し

シンクに置きながら

陽和は、こたえる。




「今聞く?い〜ないよー。

病院関係の彼連れて

くるとか思わないでよ‼

病院と言っても理事長先生の、

秘書なんだ から、で、あ、い、は

ナイから。

ジーちゃんばっかりだよ。」

「あーはいはい!穂花ちゃんと遊ん

でるくらいだもんね。穂花ちゃんは

一度嫁に行ってるんだからいいけ

ど貴方は・・・ハァ

彼氏の1人も居ないのよねー!

さみしー‼」


「 んーっもう、晩御飯ママが作りたい の?今日お好み焼きだから😠、」


「うわあ〜ごめーん。パパと散歩行っ てくるからね。」

そう言うとパッとソファを立ち、

ピピとララを連れて2人は足早に

出かけていった。


「どっちが母親だょ。」

ブツブツ言いながら陽和は、

テレビを付ける。

見るわけでも無いがついてないと、

やる気がおきない。


「秋の装いプラス

オーキッド化粧品」

赤い唇のドアップ‼ テレビから

ママの会社の、CMが流れる。



🍂🍁


「もうすっかり秋ね。」

「いやいや、まだまだ暑いな

残暑残りすぎだよ。」


「ねえ、思い出さない。

私がやんちゃしていた頃。」


「あ、あ、あれはまいったよ、

この公園だったか?」


まだ紅葉の進まない公園は

市の役人が、芝やクローバを、

刈り取ったばかりのようで

若草の匂いが当たり一面匂っていた。


野生にもどりそう。

この香り嗅ぐと走りたくなる。


ハハハハ

男相手に喧嘩してたもんな、

美代ちゃんだっけ?

セーラ服着ておっかなかったな。」


「アレはね、引ったくりに

あった人を助けて たんだよ、

真面目君2人が走って来て

助けてくれたんだよね。」


「そうそう武蔵野と俺な、

怖かったけ ど 傘持ってたから、

バンバンぶっ叩いたら

逃げて行ったもんな。」


「お礼を言いに貴方の進学校へ行った ら・・・。」



「あの君達、何か用」

正門のたかい塀の向こうから

警備のおじさんが厳しい顔で

見てくる。


「おじさんには用はねーの。」

「そそ、引っ込め」

美代が煽る様に叫ぶ‼


「君達、楢木田高校だね、

学校に連絡するよ。」


「えー、じゃああの子達も?

じゃないと 不公平じゃ﹏ん。」

恋子が、警備にくってかかる。


そう、倫太郎と航大は、

真面目キャラメガネを賭けて、

右手には参考書、

背が高くそのイケメンぶりは有名で

いつも女の子が出待ち状態だった。


2人は何時も一緒で仲が良かった。

その後をストカー軍団が後を付けて

キャーキャーキャーキャー言っていた。


その現実を知った美代と恋子は、

あの軍団の1人と思われるのはチョット抵抗があった。


なので強行手段にでた。


「ちょっとやりすぎじゃね、美代」

恋子が美代の筋書きに抵抗をしめす。

「馬鹿だね恋子、こうでもしないと


プライドあんだろ‼ あんな湿気た

連中と 同じに思われてーのかよ。」


「ううん、でも、普通に〃ありがと〃

でよくね、別に関わる相手でも

ないしさー。」


恋子が美代に言ってみたが美代は、

どうも直接会ってお礼を言いたい

らしかった。


恋子が、振り向いた途端、自転車が

暗闇から出て来て猛スピードで、

女の人のバックをひったくった。

又でたー


「うおりゃゃゃゃ‼ まてーーっ」


恋子が咄嗟に追いかけ る。

美代は女の人に声をかけた。

「大丈夫ですか?」

ころんだ彼女は怪我をして動けない。



「あれ?どうしたの?」

通りすがりの倫太郎と航大が声を

掛けてきた。

此処で、倫太郎と航大が通るのを知って待つていた美代と恋子だったけど、こんなことになれば勝手がちがう。


「あ、君達この間の喧嘩してた子だよ ね」

航大が声をかけた。

「この人お願い、恋子が犯人追いかけ てる の‼ 恋子が危ない。」


飛び出そうとした美代を倫太郎が止め倫太郎は慌てて「どっち?」と聞いた。

美代はこっちと言って指さすと倫太郎は、物凄い速さで、かけて行った。


行き止まりまで走りつくと恋子が犯人に首をしめられていた、倫太郎は犯人の襟首をつかみ投げ倒した。

グヒッと音がして犯人はその場にたおれ、警察の、お世話になった。


航大が110番していたからか

直ぐ警察がやって来た。。



ひったくり犯、お年寄りを狙う常習犯、警察もパトロールを開始した翌日の出来事だった。


「君達に会うと、ろくなことは無いね。」

倫太郎は恋子を立たせながら優しく、ニッコリと笑った。

ゲホッゲホッ

「だって、仕方ないじゃない。」


「元気がいいのは良いけど

危ないよ。刃物持ってたら完璧

刺されてたよ。」


⸝⸝⸝ポッ⸝⸝⸝ ♡︎♡︎

男に興味のなかった恋子の胸に初めて好き♡と言う感情が生まれた。


今になって、怖い感情と、彼への恋心が重なったのかブルブル震えて来た。


倫太郎は恋子の手を握り

「大丈夫、大丈夫俺が助けたろう。」

と言いながら恋子の手を引き歩き出した。


小さく頷きながら倫太郎の手に引かれるまま歩いた。


心配してきた航大と美代は、

「なーんだ、心配してソンした。」

と呟いた。

航大も、美代の堂々とした態度に

惹かれていた。


今のように頻繁に連絡出来る時代では無く携帯も思いも付かない時代の事、それから航大と美代、倫太郎と恋子4人の付き合いが始まった。


大学を出て、新会社オーキッド化粧品の、就職試験の面接に言った日

恋子と会長は、お互いを見て驚いた。


あの時のおばさんなんだもん。

どこでどう繋がってるか、分かんないよな!



そんな遠い昔を懐かしみ、ピピとララを引っ張りながら、2人が遠い昔歩いた道を懐かしみながら歩いた。

忙しい毎日のほんの一時の

恋子と倫太郎のホッとする時間の

流れだった。












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