第13話 彼女探し

「あー、トマトの奴、ムカつく、」

スッカリ酔いの覚めた俺は

タクシーに乗り

マンションへと帰りついた。


あー酒と悪友、ピーマンにトマト、

スペシャルな組み合せ。



あれから2週間が経った。

悪友の合コンの誘いは毎週くる。

仕事仕事で断り続けている。

会社の真面目君秘書を誘い、いや、

業務命令でカフェに昼ごはんに

連れ込む。


あの日と同じ、ドアに立つ兎。


ガランガランとドアベルを鳴らし

中へと足を進める。

当然彼女が迎えてくれると勘違い

していた俺は、ガッカリする。

彼女は見当たらない!


いやいやメゲルものか彼女はココに

いるのだ、それは確実!

毎日昼ごはん、晩御飯に通う。

独身の秘書や、役員引き連れて

通い初めて1ヶ月、彼女の姿はまだ

拝めない。


「やあ、また来たのかい?

今日の日替わりランチはビック

ハンバーグだよ。」



「コホン こんにちは兎君。

俺のメインは、ビックハンバーグ

じゃないんだよ。

今日こそ、会いたいんだ。」


兎と会話出来る程 イカレ てしまった。

秘書の山岡は⊙ω⊙ドン引きしている。



意を決して、

「コーヒと、オーナーをお願いしま

す。」と、呼び出した。


一瞬 え? と答えた、ホールスタッフに

もう一度、山岡も

「オススメのコーヒと、オーナー

を‼」


俺達は、厨房から何人かの

スタッフの怪しい視線を

あびていたが、

スッとして、キリッとした、

美人があらわれた。

白いコック服を来て

髪をネットに回し入れ衛生面

文句なしの彼女だ。


「おまたせしました。

コーヒとオーナーの谷口です。

毎回ご利用ありがとうございま

す。」



キチンとした態度に

真面目秘書も深々と頭をさげる。

俺も慌てて右に習い。


「ご要件は?」


「あの、コチラのスタッフさんで、

1ヶ月前に、合コンのデザート担当

してい た目が可愛くて

ほっぺも愛らしくて

全体が可愛い、愛らしくて、凄 ーく

可愛い彼女はいますよね。」


ん?

「そのスタッフなら、沢山いますけ

ど、ほぼ全員可愛らしいですよ。」


彼女は驚いた様子で、目を丸くした。


「誰の事です?」

彼女はピッとした姿勢で聞いてくる。


「えっと、誰か分からないから

探して、いやお尋ねしています。」


ピッと襟をただし山岡は頭をさげる。

俺も右に習い‼



オーナーは小首をかしげて、

思い当たる人物を探している

様子だった。



俺は困った顔をしたが、真面目秘書がメガネをキリリと1回持ち上げ


「ここ何日か続けざまに副社長は彼女に会いに来ております。

いや、探しにきています。」


「はぁ?」

凛とした態度の彼女は未だ思いつかない様子だ。

「 いえ、はい、確かに御料理は

最高に美味です。

しかし、通えども副社長のお目当ての彼女には会えておりません。

お辞めになられたのですか?」


「え、会えてない?

・・・?シフトは平等なんだけどな?


うーん?アッ

ああー陽和ちゃんかな?」


慶一道はパアアアッと顔を綻ばせ

「名前迄、可愛らしいーつ〃」


「あ〃でも個人情報なので・・・

彼女は元スタッフで今は就職してい

ますよ。

時々、手伝ってもらってるのよ。

流石に就職先は本人に確認しない・・・

と、ん?見た事ある、あなた


え、えっと‼

ああああ、アナタ

ラブホ街で車追っかけて来た人?

酔っ払ってたでしょ‼」


・∵ブハッ、ゲホッゲホッ

「ふ、副社長‼、そうなのですか?」

真面目秘書は、慌てて、

吹き出した慶一道に、

お絞りを差し出し た。


「あ〜んなにベッタリくっっいてたな らもう、無理じゃないかしら?

しかもラブホ街だし、無理な話よ。」


副社長は、バババッと席を立ち

土下座して

「俺は彼女に一目惚れしたんです。

お願いします。


あれは未遂です。

酒に酔った勢いで、本気な理由あり ません。あの夜は木の下で発見され

ました。

木の下で夜を明かしましたっ‼

警察官と、犬?が 証明してくれま

す。

彼女に会わせて貰いませんか?

探して探してやっと、会えたんで

す。

俺はこういう者です。」


フリーズする真面目秘書も、

ハッとしてガバッと土下座してきた。


やっ、やっ、やめ、やめて

「お客様いらっしゃるから、土下座は やめて話が出来ないでしょう。」


彼らはノソノソと、立ち上がり椅子にすわるとウルウルした、子犬の目、攻撃をして来た。


「うーん、無理っぽいけど今度来たら 聞いてみるわね。ふーん、

オーキッドの副社長ねぇ。」

名刺を見ながら慶一道を上から下まで値踏みするように眺め、

うーん、うーんと唸りだした。


慶一道は?オーキッドの副社長と聞けば皆、喜んで、歓迎してくれたのにオーナーは唸っている。


なんで?


オーキッドの副社長と知り

オーナーである彩乃の脳裏に

浮かんだのはつい、三ヶ月前の出来事、



「お誕生日おめでとうございます

お店からのサービスです。

いっも、陽和ちゃんには無理言って

出て来て貰って助かってます。」


「うわぁーオーナー美味しそう。」

こんがりと焼きあがったチキンの

丸焼き、中に香草や、色々な

野菜がつめてあった。


「う﹏﹏﹏ん。美味しい。

ママ、食べて食べて‼

ペコちゃんほっぺたの陽和と陽菜'は

ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"˙ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"

しあわぁせ﹏﹏﹏♡ŧ‹”ŧ‹”」


「陽和ちゃんのママの誕生日だもん頑張りましたよ。」

と、オーナーはニコニコしながら言った。


「陽和がお世話になっています。

オーナーのお陰で料理も上手になって感謝しかありません。

包丁も握れなかったのに、今じゃ

なんでも作れますし、ビックリです。


あ‼コレどうぞ

スタッフさんの分もあります。」

そう言うとオーキッドの

口紅と化粧水を出してきた。


「あー、コレCMのやっですよね。

確かオーキッド化粧品の!?

高いのに、こんな沢山?」



「オーナー、ママはオーキッドの部長 なんです。

店の子や、オーナーが付ければ

宣伝効果、大ですよ。

ね、ママ」


「そうそう、宣伝効果期待してま

す。」

ウハハハハ、陽和そっくりの

お母さんは、賑やかで明るい。


陽和の性格はこの人のおかげで、

真っ直ぐ明るく育ったんだと

彩乃は思った。


後からデパート務めのお父さんも

合流して、

賑やかな大仏家の食事会がつづいた。


つて事を彩乃は思いだした。

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