第11 話ラブホの前で1

直大をやつつけた嬉しさで

笑いが止まらなくなり

カフェでゲラゲラ笑っていた。


「おい、慶一道いくぞー〃」


「え、オレ?いかねーよ。

俺、彼女が店終わるまで待つし、」


「は?ヴヴヴヴヴヴ ヴヴヴ」

蒼太の携帯がなった。

「ああ、駅前のちょっと先の

カラオケ、フラワー」


ヴヴヴヴヴヴ ヴヴヴ

続けて蒼太の携帯がなった。

「おう、駅前のカラオケ、フラワー」


「直大と鷹斗が合流するってサ

バッカヤロー

お前来ないと女の子余るだろーこい‼

彼女も待ってるんだし、カラオケ

で‼」

「えーっ彼女って

あのオバチャン?、

尚更いきたくねー よ。

オバチャンは嫌だよ。」


「文句言うな、

ジャンケンに入らなか ったから

だろ‼ 自業自得

オバチャンって言うナ超熟女って言え!失礼だぞ!

皆で決めた事には従 え‼しかも

彼女、乗り気だぞっ‼

今更‼」



蒼太が有無も言わさぬ

ド迫力で威圧感剥き出しに迫ってくる。


「なんだよー

鷹斗に直人‼あいつら帰ったんじゃ

ねーの かよ。

お開きじゃねーのか

よ。」


慶一道はバタバタバタと抵抗した

が、待っていた悪友共に取り押さえ

られ無理やりタクシーに押し込めら

れそうになっていた。


陽和は「ありがとうございました。

又お越しくださいませ。」


「ぢがーうからねーゞゞ

俺は、すぐすぐすーぐ帰るから

コイツらと一緒にしないでーね‼

ね‼」

慶一道の言い訳に

ウンザリしながらも

陽和はニッコリ、


なんか、じーっと感じる視線に

俺はハッとしてタクシーの

後部座席を見た。

ピーマンが陽和を睨んでいた。


「うゲゲゲーピーマン。なんで?ソコ に居 る?」


問答無用とばかりに

ピーマンに腕を引っ張られ

慶一道はタクシーに沈んでいったー。」


ひえぇぇ━━



「お疲れ様でした、 帰ります。」


カフェの後片付けが終わる深夜

一時。

陽和は終わりの挨拶にオーナーのいる事務室へと向かった。


事務室と言えど四畳半くらいの

フローリングの床にダイニング

キッチンがあるくらいでパソコン、コピー機、急ぎの発注に使う

FAXがあるだけだ。


彩乃さんと彩乃さんの旦那さん

妹さんの彩菜さんがコーヒを飲んでいた。


「おう、お疲れ様、陽和ちゃんもコー ヒどーぞ、」


「せっかくですが帰ります。

失礼します。」



「あ、ダメダメ、こんな夜中1人は

あぶないから、ラブホ街もあるし、

彩乃と送るから、」


そう言うと2人は車のキーを持って

彩菜さんを残し出ていこうとしたので

「あの、彩菜さんは?」


1人テーブルに座りスマホをポチポチ

していた彩菜さんに聞いた。


「ふふっ!、彼氏待ち‼」


「ああ、そうでしたか、じゃあ

甘えちゃいます。

お疲れ様です。」


店を出ると春樹さんの車が

店の前に横付けされた。


「お疲れなのに申し訳ありません。」


陽和が頭を下げつつ車に乗り込む。

青いボディのセダ〇は

陽和の好きな車種だ。


乗り心地が陽和にストライク。

貯金溜まったら絶対セダ〇と決めている。

特に後部座席が気に入ってる。


陽和を乗せてセダ〇はラブホ街に入る

若い男女が信号待ちで

イチャコラしている。

赤信号で春樹さんは停車、



「ふふっ、お泊まりね、

私達も良く

待ち合わせして行ったよねー

あのホテル街。」


「彩乃、陽和ちゃんいるだろ‼

恥ずかしいよ。」

春樹さんは強面ながら優しい笑みを

彩乃さんにおくる。

薄いメガネの奥の目は彩乃さんを

写している、細マッチョなボディは

前のプルプルとした体型が

嘘のようだ。


そんな仲のいい二人に気を取られ

ながらもフッと見た外の風景に

ムッとする。


陽和の目は横断歩道を横切る数人に

目が釘付けになっていた。


✧"✧


彩乃さんは厨房にいて知らない。

旦那さんも肉焼いてて知らない。

この男女は全員、合コン連中だ。

2人が作った飯が腹の中に詰まってい

ることを・・・


ニヤニヤ抱き会う、

一際目立つカップルに陽和の目が行く。

全員渡り終わった所で

目立つカップルの男性と目がバチッ!


静かにセダ〇が走りだすと、


「あーあーあー

違う、違うよーー。」


ひと組のカップルが走り出しセダ〇を追ってきた。春樹さんは、

━━━━⊙ω⊙━━━

「彩乃知り合い?」


「えぇぇ?知らないわよ。」


春樹さんが、陽和にバックミラー

の中から聞いてくる。


「じゃあ陽和ちゃん知り合い?」


「さあ?でもアイツが店に来たら

何も教えないで下さいね。」


追いかけるのを諦めたのか、

ドアミラーから男女の姿は消えていた。


彩乃と春樹は少し不機嫌な

陽和を見て何かを感じていた。


「なるほどね。」


黙って頷く春樹は

「わかいな、羨ましい。」

と彩乃を見ながら微笑んだ。


ラブラブな空気の中には

何故か不機嫌なお姫様が

頬っぺをぷくぷく膨らまし・・・


「アイツは嘘つきだ‼」

と呟いた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る