第8話 再会

“合コンの女子の視線がキツくなる

のは私のせいか?“

ジロジロジロジロと上から下まで

這うような視線を感じる。


「彩乃さん、誰かとテーブル交代

出来ません か?

私一般席やります。」

耐えられず避難することを考える。


「あー、もうデザートだからさ

もうちょい、がんばれー‼」


厨房からニョッキり顔を出した彩乃

さんが〃がんばれー〃

と拳をあげた。


あれはヤレ、と言っているな‼。

シャーナイ!気を取り直し、

デザート用冷蔵庫からケーキ類を取り出し合コン席へと足取りは重いが

向かう。


「デザートはどれがよろしいです

か?」

ワゴンにはアップルパイ、

ブルベリーパイ、

ラズベリーパイ、

ショートケーキの数々、

女の子のテンションが急ピッチにあがる。


男達も何か嬉しそ、


慶一道の視線を感じて・・・

〃だから見るなって〃

陽和は心で呟き慶一道を見ながら

愛想笑い ニッコリ

慶一道に向かい、ひきつりながら微笑む。( ー̀дー́ )チッ!



あー疲れる。






今日は、春に向けた口紅の新色

モデルのオーデションを決める会議が

あった中々、意見が合わなく難航していた。

まだ秋だがすぐ年はあける。

この業界は先に出した方が勝ち。



休憩の時ライ〇を開くと直大から・・・



直大

今日の合コン必ず来いよ‼



無理‼会議難航してんだよ


直大

遅れてもいいから来い

ボン、キュッ、ボンだゾ

来ないと後悔するレベル。



うーんうーん


直大

皆待ってっからな!

場所はラズベリーカフェ。



なんで?カフェ?


直大

ここの料理、メチャ美味い。



間に合えばいくよ。


と勿体つけながら返信


〃行かないフリしていくよ

蒼太と鷹斗に聞いて知ってんだっっ ーの‼

直大お前には、カリがあるからな

合コンなんてどーでもヨイ‼

ケツ洗って待つとけよフヒャヒャヒャ〃


バタバタバタと会議は次回に

持ち越した。


「部長、駅方向だっけ?

直大から飯さそわれて、初めて行く

から 知ってる?

ラズベリーカフェ?って店?」


大仏部長は資料をめくって何か考えていたが、俺の一言に目をバッと開いた。


「よーく知っていますよ。

そのお店・•・

ご飯?だけ?」

勘のいい部長は怪しい顔で

見つめてくる。


「つ、付き合い、付き合いだって‼」


もう少し詰め寄られたら

ゲロいそう になる。

あのデカい目で怪しまれた

ら(汗)

ブルブルブル


「まあ‼ 仕方ありませんね。

変な子に引っかから無いようにお

願 いしま すね。

あそこのカフェはまあ、

オススメで す。

料理はそこらのホテルより格上です

私も良くいきます。」


部長の車は、俺を乗せ繁華街を抜け駅の裏に回った。


そこには一際目立つ建物があった。


全面ガラス張り外からは明るい

店内が良くみえる。


観葉植物が至る所にあり、

ガラス張りの温室の様だ。


大きな兎のオブジェが

デーンと入口にかまえ、

女の子ターゲットにしているのが

丸わかりな作り、

なるほど、部長が怪しむのは、

仕方がないかも。



「ん、コホン、部長ありがとう。」


「いいですか、女の子にはくれぐれ

も、気をつけて、 下さいよ。


確たるお見合いの日まで

副社長の事 はお守りするように

会長から、きつ く言われ ています

からね。」


「ああ、分かった。」



部長は口酸っぱく小言をいった。

しかし彼女は、店の中を車の中から除くとアッと驚いた様子で、

一瞬だが、穏やかな顔をした。

また振り向いて、


「副社長の肩には大勢の社員の

未来が乗っかってますからね、

ハメを外さないようにおねがいしま

す。

自分の行いには、節度を持って

間違いなどありませんように‼。」


そう言うとテキパキと車を回して

帰って行った。


何を見たらあんな顔をしたのだろう。

俺もニョキニョキと背伸びをして、

覗いてみたが??分からん。


何時も隙がなく

鎧を着ているかのように手厳しい

彼女(部長)なのに・・・


その姿を見送りホッとする。







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