第6話 カフェで、アルバイト

土曜日ピピ、ララを

抱きながらのリラックスタイムを過し、

妹の陽菜が帰って来ると言うので・・・

パスタの昔ながらのナポリタンを

トマト多めで作ってあげていた。


パスタが茹で上がり、

妹も帰って来た頃のAM10:30

携帯の呼び出し音がなる。



「陽和ちゃん、今日は休み?」


「はい。」

「デートは?」

高校から大学卒業までバイトしていたラズベリーCafeからの電話だった。


「ん、ンンンッ‼

嫌味ですかー、暇してマスよっ

彼氏がいないんじゃないんです。

出会いが‼ な.い.ん.ですってば‼」


ハハハꉂꉂハハハハ♪

「よかったぁ〜‼

お願い‼

手伝ってー、新入りちゃんが夜

10名の合コン受けちゃったの‼

女の子入れたら20人、何か、おかま

ちゃん の飛び入りもあるらしくて、

何人来るか 分かんないのよ。


既に店は満席なの‼。

仕込みの暇が無いの、

夜は父と旦那がホテルから駆けつけ

てくれるんだけど、妹と2人じゃ

厨房回んないの!

夜も満席と思うし・・・ 。」


一気に喋りまくる彩乃さんは29歳

宝〇の男役が合いそうな

スッキリとした美人、

妹さんも、負けず劣らずの美人。


旦那さんは某有名ホテルの

コックさん、

お父さんは同じホテルの強面の料理長。


ビシバシビシバシ怒られた経験あり。


「ひえぇーー、

お父さんも来るんです

か?

しかも土曜日なんて

パンパンじゃないです か・・・、

予約いれるなんてー

自殺行為ですよー!」



「大丈夫 ‼

夜は接待に回ってもらうから

厨房は旦那と父と私と妹でやるから、

ただ、

パイの仕込みとケーキの仕込みを

や ってもらえば後は焼くのは

バイトにお願い するから 。」


「分かりました。

すぐ出ます。」ブチッ


のんびりしていたからバタバタバタ

「陽菜、陽菜、カフェいってくる。

パパと、ママの夕飯おねがい。」


「え、眠い、めんどい‼ヤダ」

陽菜に叫ぶように声をあげると

だるそうな声が返って来る。


「今日、鍋でいいから野菜はカットしたの が、冷蔵庫にあるからねー!

アンコウもポイっとはね込めばOK

後は肉をポイポイ入れて食べて〜

鍋につつこんどけば、鍋奉行に

任したらいいから‼」


「あーなら、イイヨ

ハイハイ、り」


シャワー浴びている陽菜に声掛けて

家をでる。

陽和のマイカーのチャリを

漕ぎまくり20分距離のカフェを、

目指す。


秋風が吹き半袖では寒かったか?

と後悔しながら店につく、

裏口から入り更衣室まで直で

早足で歩く。


一通り制服が陽和のロッカーに掛け

てあった。

時々SOSのかかる陽和にはまだ、

ロッカーは学生の時のままだ。


厨房は既に戦場になっていた。

カチャカチャ、ボーボー

洗浄機の音と、

シルバー(フォーク、ナイフ、スプーン)の

ぶつかり合う音とが混ざり合い

甘いバニラエッセンスの香りと、

シナモンの香りが鼻をくすぐる。


焼きたてのパンが、ブザーを鳴らし

てんやわんや。

焼き場ではハンバーグや、

ステーキ肉がドーンと並んでいる。


「陽和ちゃん、ありがとう!」

向こうで彩乃さんが叫ぶと

妹の彩沙さんが手を振って合図する。


陽和もポイポイと手を振って合図する。


エプロンを締めて作業に取り掛かる

大鍋で1日分の大量のゼリーを

5種類つくる。

今日の陽和の仕事はデザート係に

スープ係。


パイ生地をこねる、

PM18:00迄なら余裕、余裕。

アップルパイ、

レモンパイ、

ラズベリーパイ

チーズケーキ、

スフレケーキ

シフォンケーキ、

フルーツケーキ

テキパキテキパキと作りまくる。


陽和の後ろではスープが3種類

出来ている。

スープを作りつつのデザート作業。


まだ陽和の存在を知らない

バイトちゃん達は

新入りのおねーさん

が入って来たと甘く思っていた

らしく目を丸くしていた。


「すご﹏い‼」


「フフフ、あなた達も頑張れば

こうなれるわよ。」

様子を見に来た彩乃さんが

バイトちゃん達に、自慢する。



お昼のお客も引いた3時ごろ

遅い昼食、皆クタクタにだれている。

ハンバーガーにコーヒ、サラダ

ビーフシチューが

賄いとしてテーブルに並ぶ。


昼あがりのバイトちゃん達も昼入りのバイトちゃん達も全員で食事


ピンポーンとお客さんが入れば

すぐオーナーの彩乃さんが

飛び出して行く。


陽和の前にしょぼくれたまだ

16歳ぐらいだろうかあどけなさが

残るバイトちゃんがいた。

「すみません、私土曜日は予約無しと知らなくて、ご迷惑かけました。」


と、すまなそうに頭を下げて来た。

小柄の真面目そうな女の子に陽和は、


「あ、あ、大丈夫!大丈夫

私、良くお店には、入るのよ。

いっもの事だから気にしないで‼」


「あ・・・りがとう・・・ございます。」

ションボリしている彼女は泣きそう

に見えた。

「辞めるなんて言わないでよ。

ほら、座って座って、食べなさいよ

私がつくつたのよ。


肉の切れ端とか、野菜クズで

賄いはね、ある食材でチャチャチャ と作るんだよ。

私も初めはできなか ったけど

5年いたら出来るようになっ てたよ。へへ 、経験積めば

要領もわかるよ 頑張ろうね。」

彼女は項垂れていた顔を上げて

ニッコリと微笑んだ。



後輩も育てる事を忘れない。

いつまでもこのカフェはありつづて

ほし い。

このカフェを巣立って行った皆んな

がいつでも帰ってこれるように、それは陽和にとってもホッと出来る

数少な い場所だからだ。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る