第5話 母は甘い部長様

医療秘書1級も

取っていたし、秘書でも、事務でも

どちらでも良かった。


合否の連絡が来た時、

秘書とあったので秘書をやっている。


二つ下の妹は今年大学を出て

有名ホテルへ入社、

コッチも大変そうだ。


夜勤もあり、

妹は今日は帰っていない。

姉の私より大人顔、母、妹、

私の順に、姉妹と言われる事もしばしば・・・



パパも某、デパートの部長さん

デパートは日曜日は稼ぎ時、

中々休みは取れない。

もう妹も私も大人だから父の大変さも母の仕事も理解できる。


そんな家族を持つ私は

大仏陽和(おさらぎ、ひより25歳)


「ママ、もう出かけないと

ダメじゃー

ん。」


呑気に、サンドイッチを

パクつきながらピピとララを

撫で回す母に警告する。



土曜日なのに忙しいママ。



「アワワワ、いつの間にかこの

時間。」


バタバタバタと車のキーをとり

車庫へと全力疾走する母は


45歳なのに、機敏元気、早い、

30代全般に見える、さすが

化粧品メーカーだけはある化けっぷり。

お姉さん?いくつなのと聞かれた時は

母親だと訂正しない、上機嫌。



去年のクリスマスにやって来たイヌのピピとララのつぶらな瞳は

出社するママを骨抜きにする威力がある。この一時がなければ余裕で

バタバタしないで出社出来るのに・・・



昨日の事、

「ママ、つかれてるね〜どしたぁ」

ママはソファにグッタリ寝そべっている、陽和は仕事から帰り、

買い物したエコバッグを開き、

「ゴボウが安かったん

だぁ 煮物、キンピラ、ごぼ天

どれにしょっか な?」



「ごぼ﹏て〜ん。」

弱々しいが、ハッキリと聞き取れる

ダラ〜ン、とした声でリクエスト‼


「分かってるってぇ〜ママごぼ天好き だもん ね。今日はオイモも安かった し 春菊も柔らかいの出てたんだよ。エビもピンピン、あ〜秋だよね 天ぷら最高‼」


「よろ・・・しぃくー」

眠そうな声でママが答える。

「ママ、副社長の合コン設定なんて

仕事以外の副仕事ノーギャラなんて

やってるから疲れちゃうんだよ。

自分でヤレって言えばー‼

副社長に甘くない?」


ガバッ‼

「ダメダメ、ろくな女の子捕まえかね ない のよ。

社運がかかってるの、会長と、奥様

に頼まれてんの、副社長には健康で、気立てが良くて、思いやりがあってドーンと構えていられるようなお嬢 さん じゃ ないとダメなのよ。」


「ふ〜ん。最後のドーンと構えっ

て なに?」


「あ〜それ・・・な‼

副社長は女垂らしなのよ。

ちょっとの浮気でバタバタするよう

な、 奥さんじゃ、無理ってこと

よ。」


「カッコイイの?ってか、何歳?」



「27歳、イケメン。」


「ふ〜ん。あーああ、頑張ってママ

浮気性は、無いワ、無理無理無理

ママ、パパで、良かったね〜。」


「あら﹏‼

パパだってモテるわよ。

イケメンよ。

バレンタインなんて大変なんだから

ね💢」ムカ


「あーあー‼アハハハあれか、

義理チョコね。デパートだもんね、

へへ

売上貢献しないとね。

お返しだって、デパートじゃん。

売上貢献って話じゃーん。」



「ウグググ・・・。」

バタン‼

ママはそのまま

寝たフリしていたのに、

スースースと寝息が聞こえて来た

寝たフリしたままねちゃってる。


「ママ、ホント副社長に甘すぎ‼」

一般から言えば27歳は大人‼

甘えんな と言いたい。

ママの代わりに、いつか会ったら

言ってやりたい。





「おまえ、甘えんなよ!!」ってね。


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