第4話 秘書

「おはよう、陽和」

「あ、ママおはよう。

副社長さん大丈夫だった?」


陽和は新聞を母の前に差し出した。



「ありがと。

うん。昨日から仕事にきてる。

今日も昼から会議なんだ。

春の新色のモデルのオーデション

の奴‼」



「え、土曜日なの に?

副社長さんも来 る の?」

和陽はビックリして母親の顔を見る。

「勿論。彼が責任者よ。」


「へえー‼

病気なのに大変ね。

私も一昨日、酔っ払いを病院まで運んだんだよ。大変だった。私ママと入れ違いで家に帰って来たらしくて

ママが出て行った後だって、陽菜が言ってた。」



「うん。副社長一日入院してたからね。退院したから昨日もマンションに行ってきた。


陽和が作って冷凍していた

チーズリゾットとチキンスープ

持っていったら 彼、凄く美味しいっ

て言ってたよ、ありがとう。」


「そう、良かった。ママも疲れたでし ょ。」


陽和はサンドイッチにシャキッとしたレタス、トマトにハムを挟み込みパンを重ねる。


卵を潰して卵サンド

コーンスープを添えて朝ご飯の出来上がり。


アツアツの珈琲を注ぐとカフェ並の

雰囲気‼ コーヒの香りがリビングいっぱいに広がった。

母は45歳、オーキッド化粧品の部長さん。


化粧品会社に勤めるだけあって、

28から32、3に見える、いっも姉妹に間違われる、かなりの美人系


妹の陽菜もママ似

これもかなりの美形、大人っポイ。25歳の私より23歳の妹の方がお姉ちゃんに見られてしまうのは私が童顔なだけか?


ママの仕事はハードでいっも駆け回って大変そう。今は、私たちの足元にはピピとララが走り回る。


2匹は去年副社長の家に生まれたダックスフンド、ママが貰って来た。


来た時はちっちゃくて可愛らしかったけど、今はやんちゃ盛り、ガブガブ気が進まないと噛みつきワンワン吠える。

だけど不思議な事にパパと妹の陽菜には、服従。


「なんでだろう。」


陽菜が起きてきたらジャンプジャンプあんまり構わないのに?

パパも同じ、頭を撫でるくらいなのに?


「なんで?」


散歩は私とママ

食事の世話も私とママ


「なんの不満があるんじゃ?」


とイヌ 語を喋れたら聞いてみたいもんだ。


私は看護科の学校を出たが、

人の死に無理を感じてしまった。

人の最後に立ち会う勇気が

無かった。


向いていないと確信すると、大学に行きながら、通信教育で医療事務の勉強にも力を入れいくつかの免許を取得。


向いていない仕事で無理するより

やりがいのある仕事をしょうと考えた。


看護師さんは素晴らしいけど、度胸や、仕事の確実さ、責任、それが出来るから尊敬する。


しかし医療秘書も直接患者さんには

関わらないが誇りを持って、やりがいのある仕事。私にピッタリと思う。


方向転換は気づいたら早めに

やったがいい。

ワクワクする事が自分の道を考える

ひとっの材料だと尊敬する先生が言っていた。


無理して看護師になっても、覚悟が

無いなら続かない。


私にもやれる事が第一条件。


そして無事、武蔵野病院へと

務める事ができた。

医療秘書として。


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