track3 雨の形
君にしか言えない僕の暗い過去を少し話そうか
あの日、小学校の校庭に
赤い
卑劣な教師の怒鳴り声と
右ならえ、な同級生の笑い声で育った
小学校の校庭に
あの頃の僕は正義の味方にしかなれなかった
捉えどころの無い何かを守るために
僕だけが僕の味方だったあの世界で
半笑いで守り続けた自分自身への情熱を
今の僕はあの日失ってしまった
情熱の行先を探している
君と会えてやっと雨の形が分かったんだ
こんなことを言うと君は笑うかな
傘も差さずに曇り空の下
僕の頬に伝っていた雨の形を
小賢しかった小学生の自分を許せるようになって
僕は少し珈琲の美味しさを知れたんだ
記憶の中、教室の片隅で独り泣いていた僕をやっと抱きしめられたんだ
そんな僕の話を半笑いで聞いてくれる君に救われたんだ
君が珍しくしてくれた昔話を聞いているとさ
君のいままでの人生が
間違ってなかったんだと思えてくるよ
シロでもクロでもないハイイロの人生だけど
昔、君の打ったその一手が
今、この時を待っていたみたいに
そのままでいいんじゃないかな、なんて
何が正解だなんて誰にもわからないから
熱中できる自分だけの世界で
半笑いで語り合える生涯の変人との友情を
君と僕で今日の時間つぶしに
情熱の行先を探しにいこう
雨の形はきっと優しいんだ
幼かった君の涙を笑い流してくれたように
虹がかかる晴れた空の下
空の青さが映っていた雨の形を
独りで生きられるこの世界で笑いあえる君と出会って
僕は僕自身の形を知れたんだ
僕たちは何かが間違っていると気づきながらこの道を歩いて行くんだ
巡り巡ってきた偶然の幸福を
満足した豚のようにぬくぬく生きるより
自分で選んだ不幸を血みどろで満喫すべきだろうというサディズムを
僕たちは選び続けるんだ
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この歌詞は、僕が五周した作品『半笑いの情熱(原作 : サンダルウッド氏)』へ贈る
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